咳、肩こり、頭痛、耳鳴り…それ慢性上咽頭炎かも 鼻の奥に綿棒を突っ込んで擦るEAT治療が有効

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

あるプロ棋士の男性を診察したことがあるのですが、対局の前日、当日、翌日までめまいや動悸、頭痛、首コリ、不眠など多くの症状に悩まされていました。

リウマチの症状で身体を動かすのがつらいとのことで、お母さんがたまたま当院でEATをされており、EATによって身体が楽になり、動けるようになることを大変喜んでいました。逆に、動けることがうれしくて家事など動きすぎてしまい、その後痛みが出てしまうことを困りながらも笑顔で伝えてくれます。

そんなお母さんから、プロ棋士である息子のつらそうな様子を心配され、EATは効くだろうかと相談を受けました。こういったさまざまな症状を伴っていて、身の置き場のないようなつらい症状に対して、EATは効果を発揮することが多いという感触を得ていたので、「効きめがありそうに思います」とお伝えすると、ほどなくして息子さんは受診されました。

1回目の治療後から症状が軽く

この治療はけっこうつらい治療なので、私は最初の2回ほどは軽めにEATを行い、ちょっとずつ慣らしていくようにしています。しかし彼は1回目の処置の後から、さんざん悩んでいた症状が次の日には楽になったと伝えてくれました。

将棋の対局は、長いときには12時間を超えるのだそうです。前日から対局相手の分析やシミュレーションなどもあり、きっとかなりの緊張モードにあるのでしょう。当日は長時間、対局に集中しなければなりませんから、気力・体力・精神力と、3拍子も4拍子も要求される厳しい世界なのだろうなと想像します。

『専門医が教える鼻と睡眠の深い関係 鼻スッキリで夜ぐっすり』書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そんな世界に身を置いているのに、動悸がする、頭が痛い、めまいがする……といった症状があったら対局に集中できるはずがありません。これまでひどいときは朝まで寝られなかったと言っていた彼が、今は寝つきもよくなり、よく寝られるようになったそうです。その相乗効果でしょうか。めまいや頭痛、動悸なども良くなっているようです。

対局はほぼ毎週あるので、症状を繰り返していますが、対局や症状に合わせて通院しており、症状がひどいままにはならずにいられるようです。そんな彼の治療をになわせてもらい、戦績にも影響するのではないか? と興味をもっていました。彼にもそのことを伝え、調べてみると、EAT開始前の月は全敗でしたが、開始した1カ月で3勝2敗と勝ち越していました。今後さらにいい結果につながってくれることを願っています。

高島 雅之 たかしま耳鼻咽喉科院長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかしま まさゆき / Masayuki Takashima

1994年金沢医科大学医学部卒、1998年同大学大学院修了。同大講師を経て、2007年幸仁会耳鼻咽喉科たかしまクリニック開院(2015年、たかしま耳鼻咽喉科に名称変更)。日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医、日本禁煙学会認定指導医。健康を維持するためには質の良い「眠り」が必要との信念のもと、睡眠時無呼吸や睡眠負債など「睡眠医療」に力を入れている。同院併設の「宇都宮スリープセンター」は、日本睡眠学会認定施設(睡眠障害の医療A認定)で、約700人がCPAP(鼻マスク)治療を受けている。診察の傍ら「鼻と睡眠」や「睡眠改善」について講演やセミナーを積極的に行う。テレビ番組の医療監修のほか、メディアへの出演多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事