こうした基礎知識を踏まえて、杉山さんは以下の予防策を挙げる(なお、これらの対策は食中毒のアニサキス症を防ぐ方法になる。アニサキスアレルギーは接触を防ぐなど、より厳密な注意をしないと、完全には予防できない)。
先に挙げた魚介類の内臓にはアニサキスがいる。時間とともに筋肉に侵入することがあるため、内臓に寄生がある魚を購入したときは、できるだけ早く内臓を取り除く。
内臓という意味では、生のたらこや白子もリスクがある。食べる場合は、必ず生食用のものを購入して早めに食べ切る。明太子や塩辛、いくら、筋子などは加工品なのでアニサキス症のリスクは低い。
「意外と問題になるのは、ご自身で釣った魚です。釣った魚はすぐに内臓を取り除いて水洗いし、アイスボックスに入れて保管しましょう」(杉山さん)
加熱して食べる場合は、70℃以上、または60℃で1分が目安。生焼けだとリスクがあるので、中心までしっかり火を通す。
マイナス20℃で24時間以上冷凍する。大事なのは中心までしっかり凍らせること。日本産業規格(JIS)では冷蔵庫の冷凍室の温度はマイナス18℃と定められている。アニサキス対策をする場合は、設定温度を下げて、しっかり冷凍させよう。
よく噛むことでリスクの軽減も
万が一、アニサキスが混ざっていても、なめろう(魚をみそや香味野菜と一緒に叩いた料理)のように包丁で細かくしたり、よく噛んだりすれば、リスクは軽減できるようだ。
「アニサキスは切断されても、ある程度は生きていることがわかっています。ただし動きは鈍るので、対策にはなると思います。しっかり噛むといった場合、“何回噛めばいいか”とよく聞かれますが、検証されていないので答えようがありません」(杉山さん)
昨今、サバなどでは養殖ものが増えている。養殖の場合、基本的にはエサや生息環境がコントロールされているので、アニサキスに感染しにくい。ただ、これも注意が必要だ。
「海洋で養殖されている魚の場合、小さなオキアミなどは外から入ってくる可能性があり、魚に感染するリスクはゼロではありません。養殖魚を選ぶ場合は、滅菌海水やろ過海水を用いた陸上養殖で、かつエサは人工種苗を用いたものが万全です」(杉山さん)
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