数学力=ビジネス数学力と勘違いしていませんか ランキングを読み解くための「ざっくり計算力」
実際、物理の世界では電磁気学や量子力学などでiは登場しますし、大切な概念ですが、ビジネスに登場することはありません。
つまり、ビジネス数学力の扱う数字はイメージが実際に湧く「具体的な」数字であるという点が中学・高校で習った数学との大きな違いです。
サインコサインなども、抽象度の高い概念ですが、これらもビジネス数学には登場しません。金額や、わかりやすい比率などが対象であるという点がビジネス数学の大きな特徴です。多くの人を悩ませたベクトルを用いた空間図形問題などもビジネスでは登場しません。
2つ目の大きな違いは、その厳密性です。
たとえば高校数学では、「a/b>1となるa、bの条件を求めよ、という問題が出ます。そして分母であるbについて、bがプラスの場合、ゼロの場合、マイナスの場合と場合分けをします。
場合分けはビジネス数学でも多少登場はしますが、重要度ははるかに下がります。むしろ、数学的には多少厳密性を欠いてもいいので、ビジネスの実態により迫れることがビジネス数学の必要条件です。
厳密さの究極の姿ともいえる証明問題などもビジネス数学では登場しません。証明問題とは、たとえば「x、y、zが自然数の場合、x^n=y^n+z^nとなる3以上のnは存在しないことを証明せよ」といった問題です(ちなみにこの命題はフェルマーの最終定理と呼ばれ、解決に数百年を要しました)。
突き詰めれば、ビジネス数学力とは、
・その際の前提が妥当なものかを理解できる
・そのうえで、数学力と同じくらい国語力を重視する
そうした力なのです。
これができれば、ビジネス数学の95%以上はカバーできますし、基本的な経営学を理解するには十分です。なお、上記の基本的な数学の素養こそが、『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』で紹介した、商、1次関数、指数関数、確率、平均、標準偏差、集合、微分です。
ビジネス数学力でランキングを読み解く①
ここではこのオンライン記事でも人気のランキング記事について、ビジネス数学を用いて読み解いてみましょう。
事例として2022年7月に掲載された「10年で『女性管理職比率」が増加した会社TOP100』を取り上げてみます。便宜上、トップ50社を網羅した同記事の4ページ目を題材にします。
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