NHK会長が怒鳴り散らすと、何がマズイのか トップは世間の受け止め方を考えるべき

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もし、これが国家公務員=官僚だったら、と想像してみると、わかりやすい。高級官僚たちは国会の質疑などに呼ばれると、議員たちの(時には意地悪な)質問に慇懃無礼に頭を下げて「先生のご指摘の点はまことにごもっともではありますが…」などと相手を立てているふりをしながら、のらりくらりとけっして言質を与えないような曖昧な表現で「こなしていく」のが常だ。いくら挑発されても、けっして感情的にならない。それが「組織を守る」ということだし、「大人の対応」というものだ。

ところが籾井氏は今回、相手の挑発に乗り、怒鳴ってしまうという失態を見せてしまった。今後、民主党側がいくらでも追及できる「言質」を与えてしまったのだ。

世間はどのように受け止めるか

こんな程度の人物がNHKという巨大組織のトップだったのか、と視聴者は思ったに違いない。お行儀よいイメージでどこかすました印象があるNHK。「でもトップがあんな人じゃねえ…」。主婦の井戸端会議が聞こえてきそうである。

この映像を見たら子どもでも、お行儀の悪さがわかる。事実、テレビで見た中学生が「このおじさん、なんだか大人気ないし、子どもっぽいね」との感想を漏らしていた。籾井氏は自分が持っている幼児性をむき出しにした映像を民放各社に記録されてしまった。今後、NHKや籾井氏にまつわる報道が行なわれるたびに、この「色をなして怒鳴るNHKトップ」の映像は何度も使われ続けるだろう。

組織のトップの役割とは、第一に組織を守ることである。

過去に何度もテレビで使われたトップの感情的な映像を振り返ると、1997年に経営破綻した山一證券の野澤正平社長による「社員は悪くありませんから」と号泣発言が思い起こされる。

この映像はバブル経済崩壊の象徴的なシーンとしてテレビで繰り返し放送されている。この時は、これから路頭に迷う社員の行く末を案じた責任感に満ちた発言として、発言者の野澤社長は男としての株を上げた。トップがテレビカメラの前で感情をむき出しにして、そのことが世間に共感を広げた数少ないケースだ。

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