ひろゆきがここまで圧倒的支持を集める納得の訳 過酷な世界を生き抜く為の「価値観の断捨離」に共感

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①は、「僕には努力信仰がありませんが、『努力しないで何かを手に入れるための努力』というのは最優先」(『無敵の思考』)、「努力とか工夫とかではなく、ポジショニングが成功の大きな要因」(『ラクしてうまくいく生き方 自分を最優先にしながらちゃんと結果を出す100のコツ』きずな出版)といった文脈で触れている。

要は、うまく「抜け道」を見つけたほうが努力が少なくて済み、効率的という発想の転換だ。そのため、(物理的な被害や被害者がいないのであれば、)「ずるい手」も許容している(『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』プレジデント社)。

②では、「ランニングコスト」(生活を続けるお金)が高いと、「仕事を辞める」という選択肢がなくなり、どんな嫌なことも受け入れるマインドセットになるからだという。これは、ひろゆき自身が大学生の頃に培った節約生活にベースがあり、「いくら稼ごうとも月の生活費5万円くらいの暮らしを崩したことがありません」と公言する(『凡人道 役満狙いしないほうが人生うまくいく』宝島社)。

具体的には「1日1食程度で外食もほとんどしないし、遊びと言えば家で好きなことをやることなので、僕の生活コストはかなり低い」と説明している(『なまけもの時間術 管理社会を生き抜く無敵のセオリー23』学研プラス)。

生存主義を重視する時代の精神とシンクロ

③は、②とリンクしている。消費によって幸福を得ようとすると、ランニングコストが高くなり、もっと仕事で稼がなければならないという悪循環に陥ったりするため、「消費者は一生幸せになれない」という理屈だ(『無敵の思考』)。

ひろゆきは、「買い物などの消費活動ではなく、生産活動によろこびや癒やしを得られるように生きていくこと」(『ラクしてうまくいく生き方』)を処方箋として示す。また、お金をかけずに楽しむ時間を持つ例として「掃除が楽しい人が最強」説なども展開している(『なまけもの時間術』)。

これはほんの一部に過ぎない。ひろゆきの著作が軒並みヒットしている背景には、社会経済状況が上向きにならない中で、自暴自棄になったりせずに、少しでも自分の幸福度を上げて生きていこうとする、サバイバリズム(生存主義)を重視する時代の精神とシンクロした点が大きいと考えられる。加えて、『凡人道』というタイトルや「僕は弱者の味方だ」(『1%の努力』)などの記述に表れているように、一般人の生活感覚に寄り添ったスタンスであることも非常に重要な点だ。

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