西島秀俊「ユニコーンに乗って」の名演に見た希望 おじさんが若者に交じってやっていく理想の姿

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ユニコーンに乗って 西島秀俊 永野芽郁 杉野遥亮
スタートアップ企業が舞台ですが「おじさんお断り」ではありません(東洋経済オンライン編集部撮影)

最近のテレビドラマはシニア層を切り捨て、コアターゲット(13〜49歳)にターゲットを絞ってきている。

シニア層が好む同世代が主人公として活躍するオーソドックスな刑事ものや人情刑事もの(刑事ものばっかり)、ヒューマンドラマ色の強い医療ものから趣向を変えて、20~30代の俳優を主演にした若者向けの恋愛ものや青春群像劇や考察を楽しむ奇想天外なミステリーなどが徐々に増えている印象だ。

「おじさんお断り」ではないドラマ

永野芽郁がスタートアップ企業の若きCEOを演じる火曜ドラマ「ユニコーンに乗って」(TBS系 火曜よる10時から)はコア向けの代表格のはず。おじさんお断りという空気が漂っていると思いきや、よく見ると、そうでもない。

意外とシニア層にも取り付く島がありそうなのだ。それは西島秀俊が20代の若者たちに交じって奮闘し、おじさんの希望になっているからである。おじさんを魅力的に描いて同枠で大ヒットした「私の家政夫ナギサさん」(2020年)的な気配のあるドラマである。プロデューサーも同じ松本友香と岩崎愛奈だ。

(※ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください)

第2のナギサさんのポテンシャルをもった「ユニコーンに乗って」は26歳のCEO・成川佐奈(永野)が主人公で、同世代の仲間たちと共に教育系アプリ「スタディポニー」の開発に力を注いでいる。

20歳のプログラマーまでいる若い企業でひとり平均年齢を上げている(20歳と同期設定)のが、48歳の小鳥智志(西島秀俊)。そろそろコアターゲットから外れる崖っぷちの年齢である。

26年間、勤務した地方銀行を辞め、転職活動を経て、佐奈の会社・ドリームポニーに入社した小鳥。コジマ(小島)でなくコトリ(小鳥)はたいそう素朴な人物で、ITの知識がほとんどなく、ITの基本から学んでいく。いくら48歳とはいえ、ここまでIT知識がないものなのかというほどITに無知である。おじさんはガジェット好きでヤフーニュースも大好きだと思うのだが。

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