また、大都市、特にパリにおける生活費の高騰は、多くのフランス人に日常生活の見直しを迫っています。パリの住宅は非常に高額で、ウェイターのほとんどはパリ郊外に住んでいます。
しかし、仕事が深夜に及んだ場合、終電が終わった後に自らタクシー代を払って帰らなければならない人もいます(雇用主がタクシー代を出してくれるかはお店によってまちまち)。
美容師も足りない
フランス、特にパリ周辺では美容師も不足しています。確かに美容師は労働時間が長いうえ、立ち仕事のためかなり体力がいる仕事です。私が通っているパリの美容院は、8月いっぱいは休業せざるを得なくなったと言います。
休暇に入る人の代わりになるようなスタッフを見つけるのが不可能だったからですが(フランス人は7月と8月に長期休暇を取る)、これは初めてのこと。4〜5人でやっていたサロンが1〜2人になってしまったのです。
辞めていった人の中には、美容師から完全に転職した人もいます。1人は保育園に、もう1人は時短勤務を希望して事務職に転職しました。「美容師は独身者向けの仕事だから……」と認めるソフィーは、自分の仕事を愛しているが、家庭を持ったら辞めたくなる人が増えるのも仕方ないと理解していると言います。
フランス人の人々はますます、「自分の時間」が人生で最も貴重だと考えるようになっています。それに最初気がつくきっかけとなったのが、コロナ禍のロックダウンやその後のリモートワークでした。
この期間、人々は自分の心を整える方法を見出し、愛する人たち、特に子供たちと一緒にいる時間が増える一方、会社との関係が希薄になりました。結果、会社や上司のために犠牲を払おう、という気持ちが薄れていったのです。
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