「見るハラ」「見せハラ」大論争で見落とされる視点 なぜ同意できないか、ルッキズムを巻き込み沸騰

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誰もが被害者にも加害者にもなりうる繊細なテーマです(写真:Graphs/PIXTA)

猛暑が続くこの1カ月あまり、「見るハラ」という言葉がネット上に書き込まれていましたが、ここに来てその数が急増しました。これは8月8日の「めざまし8」(フジテレビ系)で、「見るハラ」の特集が組まれたからであり、ツイッターのトレンドワード入りしたほか、その後も活発な意見が交わされています。

その「めざまし8」は、「見るハラ」を「薄着の女性をじろじろ見るなどの不快な視線によるセクハラ」と定義。平年を上回る猛暑に加えて、行動制限のない夏は3年ぶりだけに、肌の露出が増えて「見るハラ」を訴える声も増えているのでしょうか。

しっかり見ていることへの嫌悪感

ハラスメント被害を訴える女性の声をあげると、「本当にずっと見ている人とかいる」「『何で』って思うし、気持ち悪い」「見るのはしょうがないけど、ガン見とか写真撮るとか隣に座るとか。そういう行動に移してほしくない」など、“ちょっと”でなくしっかり見ていることに嫌悪感があるようです。

ただ、被害を訴える人だけでなく、「こっちもそういう服を着てるから悪くは言えないかな。見られてるのはわかります。いい気持ちにはならないけど」「自分も着たい服は着たいので、『我慢しないといけない部分もあるのかな』って」などの声もあり、「こっちは暑いから薄着したいけど、『見られるならこの服着るのやめよう』って思います」と自主規制している人もいました。

被害を訴える人と、ある程度は受け入れる人の両方がいる一方で見逃せないのは、「『見るハラ』が成立するなら、見たくないものが視界に入る『見せハラ』も成立する」という声。これは「『目のやり場に困る』『反射的に見てしまう』ような服装は逆セクハラではないか」という意見でしょう。

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