もちろん、委譲しておしまいではない。結果は相当シビアに評価されるというし、各店長の売上を番付表として全社員に公開されるのは話題になった。自由に伴う、当然の厳しい査定も、ある意味、同社の魅力といえるのかもしれない。
意外に知られていないのは、ドンキホーテの社内組織が第1事業部~第7事業部まで7部署に分かれていることだ。たとえば第1事業部では「電気・情報通信・ソフト・自転車」、第7事業部では「カー用品・玩具・バラエティー・ エクステリア」を扱う。各店舗にはそれぞれにの事業部に紐付いた担当者が割り当てられ、相互に連携しながら店舗の品ぞろえが決まっていく。
「夜」の発見と「アミューズメント」性
ドンキホーテは当初「居酒屋もカラオケも飽きたけれど、ドンキホーテに行くとなんだか時間がつぶせて楽しい」といったお客に支えられていたのは事実だった。そして、夜中に買う必要がないものをあえて夜中に売り、それに応えるようにお客は夜中にドンキホーテに殺到した。それはドンキホーテにたいして住民運動が起きるほどだった。
安田会長は、買い物はアミューズメントでなければならぬといい、銀ブラならぬ「ドンブラ」が強みと述べた。深夜マーケットは、最後に残された金脈だった。
陳列のところで、さも計算され尽くしたかのように筆者は説明した。しかし一筋縄でいかないのがドンキホーテだ。たとえば、もっとも訴求力のある安価商品を、ドンキホーテでは棚下の目立たないところに陳列するケースがある。これは、宝探し感(トレジャーハント)を醸成するためだという(!)。
何かわからない怪しげなものに人間は惹かれる。そして、買い物なる行為の本質はアミューズメント性やエンターテイメント性にあるのも間違いない。そう思うと、ドンキホーテのライバルは小売り各社ではなく、きっとディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンや東映ヒーローワールドに違いない。
日本にやってくる外国人旅行者は2014年に1300万人を超えた。そしてそのざっと半数がドンキホーテにやってくる。外国人たちも、きっと日本の文化の一つとして、ドンキホーテを“消費”しているはずだ。
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