始まる前からほぼ負け確定「沖縄戦」の心痛む惨状 民間人も巻き込み、「美学」で戦争していた現実
アメリカ軍は軍艦1500隻を率いて計54万人を動員しました。今から80年ほど前に、沖縄の澄んだ海を1500隻もの軍艦が埋め尽くし、美しい浜辺にアメリカ軍の船が次々と乗り上げて、大量のアメリカ兵が沖縄本島に上陸してきたのです。対する日本軍も沖縄におよそ10万人の兵士を派兵しており、沖縄では大激戦が繰り広げられました。
ですが、事前に徹底した陸地への攻撃を行い、一気に超大軍を派遣してきたアメリカ軍の勢いは簡単には止められませんでした。アメリカ軍が上陸してきたその日のうちに、日本軍が造ったいくつかの飛行場は占領されてしまいました。
そうこうしていると、沖縄でも敵に派手に攻撃してナンボ!という攻撃派の考えでさまざまな攻撃がなされます。
まずなされたのは特攻です。特攻とは、航空機やモーターボートに爆弾を積んでそのまま相手にぶつかって搭乗員の命もろとも攻撃するという、まさしく超攻撃的な戦法です。
ですが、航空機やボートと一緒に乗組員の命まで失うことになる特攻には、もはや合理性はありません。ここまでやられっぱなしだし、ムカつくアメリカ軍に一発派手に攻撃してやればいい!というようなまったくもって短絡的な攻撃です。
実際に海での特攻では、アメリカの軍艦をほんの4隻ほど損傷させただけで、そのための特攻艇で亡くなった兵士の数は2500人を超えており、到底与えた損害に見合うとはいえません。
空からの特攻では計22隻の敵軍艦に損害を与えるなど一定の戦果はあげていましたが、特攻を実行した航空機は約1700機で、そのうち約1600機が搭乗員と一緒に海の藻屑となりました。
戦場で必要以上に美化された特攻
日本の払った犠牲は決して戦果に見合っていないのですが、長期的な勝利が見えないと、ただただ相手に突っ込んでいって死ぬという特攻が戦場で必要以上に美化されてしまい、与えられるダメージは少なくてもどんどん命をなげうっていってしまうのです。
こんな様子でうまくいくのか……と思うところですが、死ぬ気で行けば何とかなる!というのはあながち間違いでもないのです。
アメリカ軍は大量の戦車を投入していますが、日本軍は爆弾を抱えて体当たりをして戦⾞を⽌めるという、いわゆる「肉弾攻撃」を行ったりして、長期的な勝利も見えない中、目の前のアメリカ軍に対して文字どおり死ぬ気で戦ったのです。
このとき日本軍でよく言われていたのは、「一人十殺一戦車」という合言葉です。アメリカ兵10人を殺すか、戦車1台を撃破するまでは死んではならないという教えです。作戦もなにもあったものではありません。とにかくいっぱい殺せ!そうすれば何とかなるだろう!というわけです。
日本軍は数で圧倒的に劣っているにもかかわらず、アメリカ軍の攻撃に対して必死に抵抗しました。
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