3つの家族の選択の過ちが生む家庭の不和と再生 イタリアの巨匠ナンニ・モレッティ氏の最新作

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『3つの鍵』は、同じアパートに住む3つの家族に起きたさまざまな出来事を描いている(東洋経済オンライン読者向けプレミアム試写会への応募はこちら)© 2021 Sacher Film Fandango Le Pacte

ローマの高級住宅街の同じアパートに住む3つの家族。彼らが内包していた責任感や罪の意識、そしてそこからもたらされた選択が、やがて予想もしなかった家族の不和を引き起こし、彼ら自身を次第に追い詰めていく――。

2001年の『息子の部屋』でカンヌ国際映画祭の最高賞にあたるパルムドールの受賞をはじめ、世界三大映画祭(カンヌ、ヴェネツィア、ベルリン)の受賞歴を誇るイタリア映画界の巨匠ナンニ・モレッティ監督の最新作『3つの鍵』が9月16日より全国順次公開となる。

本作の舞台はイタリア・ローマの高級住宅街の中にある1軒のアパート。ここに住む住民たちは、顔見知り程度の隣人たちのことを、よく知らずに日々を過ごしていた。

だがある夜、1台の車が建物に衝突する暴走事故が起こり、そこに巻き込まれたひとりの女性が亡くなってしまう。そしてこの痛ましい事故をきっかけに3つの家族がそれぞれに孤独を深めていくようになる。

事故を起こした車を運転していたのは、3階に住む裁判官のヴィットリオとドーラ夫妻の息子アンドレアだった。ところが、あれだけの事故を起こしておきながらも、息子に反省の色は感じられない。妻のドーラは選択を迫られる。夫を選ぶのか、息子を選ぶのか――。

日常に潜む小さなゆがみが家族の心を惑わせる

事故当時、2階に住んでいたモニカには陣痛がはじまり、たった1人で病院に向かっていた。仕事で忙しい夫は、長期出張で家に不在であることが多く、家庭を顧みない。そんな耐えがたい日々に、モニカは次第に孤独を深めていく――。

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一方で1階に住むルーチョとサラ夫妻は、事故によって仕事場が崩壊したため、娘を朝まで向かいに住む老夫婦の家に預けることにした。

だが娘を預けた老夫婦の夫レナートには、認知症の疑いがあり、娘を連れたレナートは、一時的に行方不明となってしまう。その連絡を受けたルーチョとサラ夫妻は娘の身を案じ、必死になって探し回る。

それからしばらくして2人は近所の公園で発見される。警察の調べでは事件性がないということとなったが、ルーチョはその空白の時間に娘の身に何か起きたのではないかという疑念に囚われるようになる――。

日常に潜む小さなゆがみが人々の心を惑わせ、やがて思いもよらないような出来事を巻き起こす。親としての責任や選択は、どこでほころびを見せるようになり、ボタンを掛け違ってしまったのか。そんな彼らの未来の扉を開く鍵とは――。

モレッティ監督がこれまで、しばしば描いてきた罪の意識、そして人間関係のはかなさといった主題を追求しながらも、その語り口は非常に抑制的、かつ登場人物に対する慈愛をもって描き出されている。

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