3つの家族の選択の過ちが生む家庭の不和と再生 イタリアの巨匠ナンニ・モレッティ氏の最新作

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本作はもともと2019年に撮影されていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、2021年に公開延期となっていた。だがその間に配信で先行リリースするという考えは一切及ばなかったという。

それはモレッティ監督が、イタリア・ローマで30年近くにわたり、「Nuovo Sacher」という映画館を共同経営しているということも大きかったようだ。

人間は他者のぬくもりを必要としている

「観客としての自分は配信を否定するつもりはないが、作り手としての自分としては、自分の映画の最初の封切りは映画館であってほしい」という思いから、映画館での上映にこだわったという。

結果として、このコロナ禍の中で公開されることとなって、本作のテーマがよりビビッドに伝わるようになった。現代社会では人間関係も希薄になったが、それでも人間は他者のぬくもりを必要としているのだと。

本作の原作者である作家のエシュコル・ネヴォはこう語る。「この映画では、登場人物たちがお互いに傷つけ合い、癒やし合い、恨みを抱き、許し合うことができる。そしてわたしたちの幸福は、常に、他者の幸福と結びついていることを思い出させてくれる。そして私たちが生きているこの痛ましい時代に照らし合わせると、それは忘れてはならない重要なことなのだ」。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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