山手線で「2番目に新しい」西日暮里には何がある? 狭いエリアに路線が密集する鉄道の一大拠点

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道灌山通りと西日暮里駅
山を切り開いた道灌山通りと西日暮里駅(筆者撮影)
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2020年に高輪ゲートウェイ駅が開業する際、西日暮里駅では「二番目じゃダメなんでしょうか」といったポスターが多数、掲示され、ちょっとした話題となった。新駅誕生により、1971年4月20日開業の西日暮里が山手線最新の駅の座から滑り落ちることを、やや自虐的に紹介した広告であった。

昭和30~40年代の人気落語家、四代目柳亭痴楽の新作落語『恋の山手線』は、上野を起点に内回りの方向へ、各駅の駅名を盛り込んで七五調で演じる、現在のリズム漫才のルーツのような作品。そのため、西日暮里駅の開業はちょっとした難題であっただろう。

無視するわけにもいかないので盛り込んで改作したのだが、約1年半後の1973年10月。痴楽自身が脳卒中で倒れ、その後は言語障害により事実上、落語家としての命脈が絶たれてしまった。こうした事情から、西日暮里が入っている『恋の山手線』の映像や音声の記録は、貴重なものである。

地下鉄乗り換えのために生まれる

西日暮里は、もともとは高度経済成長期、毎年のように激増する通勤通学客への対応を迫られた国鉄が、輸送力増強の一環として設置した駅だ。

常磐線を複々線化して快速線と緩行線(各駅停車)に分け、緩行線を新規に建設する営団地下鉄(当時)千代田線と結んで、相互直通運転を行おうという計画。その際、千代田線と山手線の交差地点、乗り換え駅をどこにするかが検討され、日暮里―田端間に新駅を設置することになったのであった。

後から追加された駅であるゆえ、日暮里から0.5km、田端から0.8kmと非常に駅間距離は短い。ホームからは隣の駅がお互いに見える。なお、千代田線の駅のほうが1年半あまり先に、1969年12月20日に開業している。

東京メトロの出入口
東京メトロ千代田線の出入り口。日暮里・舎人ライナーと隣接する(筆者撮影)
日暮里・舎人ライナー西日暮里駅
2008年に開業した日暮里・舎人ライナーの西日暮里駅(筆者撮影)
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