山手線で「2番目に新しい」西日暮里には何がある? 狭いエリアに路線が密集する鉄道の一大拠点

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今も道灌山からの眺めはよい。諏方神社の境内の一角には諏訪台と呼ばれる江戸時代からの眺望の名所があり、現在は新幹線をはじめ、勾配のある線路を上り下りする列車を眼下に見ることができる。一方、西側の富士見坂は、都内に多数ある同名の坂のうち、最後まで実際に富士山を眺めることができた場所。あいにく中間に高層ビルが建ってしまって眺めは失われたが、富士山の方角が大きく開けた眺めはそのままだ。

諏訪台からの眺め
諏訪台から東を眺める(筆者撮影)
富士見坂の眺め
最近まで富士山を見ることができた富士見坂(筆者撮影)

西日暮里駅の東側一帯は、東京でも有数の鉄道密集地帯だ。2008年3月30日には日暮里・舎人ライナーの駅も開業。JRとは一般道経由の乗り換えになるが、見沼代親水公園方面から池袋方面へはここで乗り換えるほうが早い。また千代田線とは出入り口同士が接続していて、JRより乗り換えがしやすい。

かつては「道灌山通駅」も

そして日暮里・舎人ライナーの駅のすぐ近くを京成本線が高架線で通っている。日暮里で山手線などと接続しているので西日暮里に駅はないが、1934年から1943年までの間は、道灌山通りとの交差地点には道灌山通駅があった。今となっては、痕跡は確認できない。

道灌山通駅付近
道灌山通駅があった付近を走る京成本線(筆者撮影)

北へ進むと、複線電化の立派な線路に行き当たる。三河島と田端を結ぶ常磐線の貨物支線だ。常磐線が1896年に水戸まで開通したときの起点は田端で、1905年に日暮里―三河島間の短絡線が開業するまでは、ここを旅客列車が通っていた。その後は常磐炭田から田端、さらには山手貨物線を経て東海道本線方面などへと石炭を運ぶルートとして活用された歴史がある。

京成線と貨物支線
京成本線の下をくぐっている貨物支線(筆者撮影)

現在、南千住駅近くにある、貨物専用の隅田川駅は東京北部のコンテナ輸送の一大拠点だ。主に東北本線方面、上越線方面のコンテナ列車が多数、発着しており、この支線を通って遠く北海道まで走っている。

ただ旅客線ほど運転本数は多くないので、線路は地平のまま。道灌山通りなどとの平面交差(踏切)も残っている。とくに連続立体交差化などの話は出ておらず、そもそも常磐快速線や京成本線などの既存の高架の下をくぐっている以上、高架化も困難とみられる。住宅密集地の中を重厚な貨物列車が行き交うシーンは、当面変わらないだろう。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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