年間5億本!ガリガリ君に学ぶ"ATM戦略" 非凡な現場は「明るく・楽しく・前向き」

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若手育成は「放ったらかし」が基本

赤城乳業の若手育成は、「放ったらかし」が基本です。

上司は若手が助けを求めに来れば、短くアドバイスをする程度。会社の狙いは、若手自身に徹底的に考えさせ、悩ませて、人一倍の成長を促すことにあります。

赤城乳業では、おカネのかからない小さな販促企画、いわば「小ネタ」を、現場が知恵を絞って仕掛け続けています。

たとえば、受験シーズン限定で、アイスキャンディの「当たり」を「合格」に変えてみたことがあります。

すると受験生だけでなく、その親はもちろん、祖父母世代までが孫のためにと大人買いをしてくれて、シニア市場まで開拓してしまったのです。冗談のように聞こえるかもしれませんが、本当の話です。

「そんなのもアリか!」と苦笑させられる小ネタもありますが、年間100を超える「小ネタ」が発案されるところにも、放ったらかしだから生まれる20代パワーが感じられます。

元気な20代の現場力が会社を底上げする

20代に大きな仕事を任せ、チャレンジを面白がる空気をつくる。それによって、赤城乳業の現場には「ATM」な空気が生まれ、会社の現場力も底上げされる。そういう好循環が生まれています。

「コーンポタージュ味」を商品化した開発担当者や、それを支えた製造現場の20代社員も、少ない販促予算にもメゲず「小ネタ」をひねり出し続けるほかの若手社員も、赤城乳業の貴重な「現場力」です。

一方、30代以上の社員は、普段は何をしているかといえば、若手のサポート役と新たな商品開発のネタ探し。いわば、彼らは未来を創る「現場力」です。そんな分業体制が整っているからこそ、業績も好調なのです。

一方、みなさんの現場はどうでしょうか。「上司から降ってくる『やらされ』仕事ばかりで、気分もユーウツだ」。そんな20代が実際には多いのではないでしょうか。

「20代社員がどんな気持ちで、どんな仕事をしているか」を見ることは、現場の戦闘能力を見極める格好の材料になります。

若手に力を発揮させないだけでなく、反対に、精神的にそこまで追い詰めているとすれば、上司や会社は「現場はどうあるべきか」について真剣に考え直すべきです。

20代を大切にしない現場に、未来はないからです。

次回は、無印良品ブランドを展開する良品計画について紹介します。楽しみにお待ちください。

3万部のベストセラーになっている新刊はこちら→『現場論――「非凡な現場」をつくる論理と実践』 赤城乳業については、『言える化』でも詳しく解説しています!

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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