ネット時代の「編集者不要論」は本当なのか 「センセー!ゲンコー!」だけの仕事じゃない
この時、特に雑誌では、レイアウトに合わせた文字数調整がとても重要な仕事になる。ウェブメディアの仕事が増えて楽になったな、と思うのは、この「文字数調整」が劇的に減ったからなのだが、一方でそれは文章の中身にも影響してくる。
というわけで、第二の仕事が「内容の精査」。レイアウト内に文字を流し込んでいく時には、なんでも流し込めばいいものではない。その結果「記事全体が読みやすい」と感じられないと意味がない。だから同時に、文章の中身を精査し、読みやすいかどうか・間違っていないかどうかをチェックする。
特に書籍の場合、10万字を越えるような内容をきちんと構成するのは、相当な苦労が必要になる。まったく経験のない人の場合、なんの手引きもなしに完成させるのは不可能だ。編集者はそこで、構成や内容について口を出し、いいものに仕上げるための手助けをする。
本来のもっとも大きい仕事とは?
内容の正しさについては、実際には「校閲」という専門職がいて、その方々が細かくチェックするのが正しいあり方であり、新聞や一部の雑誌、書籍はそうしている。が、コストや手間がかかることもあって、特にウェブ媒体では編集者が校閲者である、というパターンが多い。
第三の仕事が「内容の決定の補佐」だ。記事は著者が書くものだが、各媒体で「どう扱うか」「どう見せるか」は媒体側の判断になる。雑誌は特にそうで、編集長が全体方針を決め、各パートを編集者が責任を持って構成する形を採る。著者には内容や体裁など、書いて欲しい形を提案し、共に記事を作り上げていく。いわば企画者としての顔であり、本来編集者のもっとも大きな仕事はここにある。
そして第四の仕事は、「ここまでの三つがスムーズに進むようにする」ことだ。たとえば、原稿に必要な取材を手配することもあるし、著者が持っていない写真を企業などから入手することもある。内容をよくするために著者を持ち上げたり、助言を与えたりすることもそうだ。
また、情報を得て記事のクオリティを上げるために、情報源となる個人や企業との関係を作るのも彼らの仕事。そして、効率的に原稿を収集・整理するために、間に人を立ててその人々を使うのも、また編集者の仕事である。
要は、「書くこと・デザインすること以外の多くの雑用と、執筆の依頼」を行なうのが編集者であり、職場や個々人によって、働き方も違えば職域も違うものなのだ。だから、「原稿作成はほぼ著者丸投げで、最終的な整理以外はしない」人もいれば、「中身を作りあげるために、著者やデザイナーに指示を出しまくる」人もいる。
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