ネット時代の「編集者不要論」は本当なのか

「センセー!ゲンコー!」だけの仕事じゃない

ポイントは、その本人が編集をどんな仕事と考えているかにある、と思っている。最近は「整理して流し込む」ことが仕事である……と思う人が増えたのか、企画まで一緒に考え、時にはそこをサポートしてくれる、というタイプの編集者は減ってきている。が、大手出版社を中心に、多くの実績を持つ編集者は、いいものを作るための環境作りに腐心する人が多い。

逆に言えば、どこまで編集者と協調関係を作れるかが、著者の力量のひとつだ、と私は思っている。それができないと、どんどん自分がやらねばならない仕事が増えていき、いいものが作りにくくなっていくからだ。

紙だけの時代よりも重要になった「ノウハウ蓄積」

原稿を受け取って成形することだけが編集者の仕事ならば、出版社はあんなに高いマージンを取るべきではないし、原稿料ももっと上がるべきだ。しかし、「どうすればよくなるか」「そのためにどこまで作業するか」という部分で編集者が共に判断を下すことで、一人ではできない価値が生まれてくると、そこには「共同制作者としての利益配分」が出てくる。

出版社不要論・編集者不要論に違和感があるのは、そういう機能を無視しているからである。人は一人でなんでもできるわけではない。産業的に「いいものを量産する」には分業制が欠かせない。そのために、著者と編集者は別れているのだ。逆にいえば、編集者がなにもしてくれず、結局自分への負担が大きかったのならば、より高いギャランティを請求してもいい、と私は思う。

編集者という「仕事仲間」とのパートナーシップを築くことは、この仕事の最大のノウハウといっていい。そこで躓いた人々は多い。私もすべての編集者といい関係が築けた、とは思っていない。

パートナーシップを築く上で、なにを期待してよくて、なにを自らやらねばならないのか。紙だけの時代よりも、今はテキストの量が劇的に増えた。だからこそ、そうした「いい関係を築いていいテキストを作っていく」ノウハウを蓄積しなければいけないのだろう、と思う。自分がやっていることを人に説明できる自信はないが、「原稿の書き方」を教わる時には、そうした話も必要なんではないだろうか。

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