「危ないからダメ」と言われ続け育った少女の悲劇 小学校の校長だった祖母に過干渉に育てられた結末

拡大
縮小

カズヨはマイを非常にかわいがる反面、心配性なところがありました。何かにつけて「危ないことはしちゃダメよ」「気をつけないとね」と言うのです。

同年代の子がブランコで遊んでいるのを見て、マイもブランコに乗ろうとすると、「おばあちゃんが昔いた学校で、ブランコのチェーンに指を挟まれて大ケガした子がいるの。危ないからやめておこうね」。

川のそばに咲く花を摘もうと土手を下りようとすると、「足をすべらせて川に落ち、亡くなった子がいるのよ」などと話してやめさせていたようです。

「~してはいけない」ばかりで

マイは小さい頃はあまり疑問に思わなかったものの、小学校高学年になり周囲の子たちが友だち同士だけで遊ぶようになると自分もそうしたいと思うようになりました。

たとえば「みんなでショッピングモールに行くんだって。私も行っていいでしょ?」と聞いても、カズヨは一切認めなかったそうです。

「私は心配で倒れるかもしれない。それでもいいなら行きなさい」

脅しのような言葉に、マイは遊びに行くのをあきらめ、クラスの中でも浮いてしまうことが多くなりました。

中学生になり、塾や部活などの理由がつけられるようになると、さすがにカズヨの監督下から少し抜け出せるようになったようです。

マイは家ではいい子のふりをしつつ、外では不良グループと付き合うようになりました。高校からはティーン誌の読者モデルも始め、洋服やアクセサリーをバンバン買うので、お小遣いはすぐに底をついていました。

大学生になってバイトを始めましたが、金遣いの荒いマイには焼け石に水。思いついたのは、両親のレストランの売上金を盗むこと。多少抜き取ってもバレなかったので、何度も犯行を繰り返しました。

しかし、一度に盗める金額には限りがあります。今度はカズヨのタンス貯金に手をつけました。これまでさんざん自分を抑圧してきた代償を支払ってもらう気持ちで盗るので、とくに悪いことをしている認識はありません。

さらに大金を手に入れたくなったマイは、レストランによく来る高齢者をターゲットに、「うちのお店、3年後にリニューアルオープンして大規模店になる予定なの。いま出資してくれれば、高い配当を得られるよ。でもこれは内緒の話だから誰にも言わないでね」という話をするようになりました。いわゆる、特殊詐欺です。

次ページ人の気持ちがわからない悲劇
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT