次の大暴落で最もひどい影響を受けるのは日本だ ジム・ロジャーズ氏が変われない日本に警告

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「コロナ給付金」「Go Toキャンペーン」など、大規模なバラマキに思うところがあった人もいるでしょう。日本だけではなく、欧米諸国でも金融緩和政策だけでなく、度重なる大規模な財政出動が行われました。ロジャーズ氏はその中でも異例の長期にわたる日本の金融政策について心配をしています。これだけの緩和を続けてきた先進国の中央銀行は過去にないからです。

「日本に関して言えば、いくら日銀が株や債券を操作しても、相場参加者のほとんどが『日銀は信頼できない』と感じており、円を売り込んでいる。長い間、円は安全通貨であり、他の通貨よりも安定していると考えられていた。だが、最近になってマーケットは日本に対して不信感を募らせている。日銀が何を言っても、マーケットはもう日銀の言葉や行動を信用することはないだろう」

「日銀が緩和を続ける限り、円安は続き、いずれ日本国内の誰かが、これほどまでの円安は健全ではないと気づくだろう。そしてどこかで日銀もスタンスを変え、利上げなどの金融引き締めを実施するだろう。だが、そのときには、わずかな引き締めでは足らず、日銀は信頼を勝ち取るために何度も利上げをしなければならなくなるだろう。そのことは、多額の債務を有する日本には大きな試練となる」

「金利上昇」「円安」「物価上昇」の悪循環の懸念

確かに世界的に見ても、日本はGDPに対しての債務の比率は大きく、なかなか利上げに向かうことができない状態です。そんな中でも永遠に金融緩和を続けるわけにはいきません。

もしどこかで利上げに転じる際には、債務の多い日本には大きな受難が来ると予測されます。金利が上がると利払いが増え、住宅ローンを組んでいる家計を直撃するでしょう。また、資産運用をしている人にとっても、利上げは株価の下落リスクを高めることとなり、老後資金にも影響が及びます。

さらに、利上げしても中央銀行への信頼が低下したりすれば、円安が進み、留学や海外旅行も一段とお金がかかることになります。輸入品の値段も上がります。

「日本の将来を考えたとき、ものすごい勢いで子供を増やすか、移民を受け入れるか、とんでもないスピードで借金を減らすなどしない限り、この先も安全で豊かな社会が長く続く見通しは絶望的だ。このまま、若者が減って高齢者が増え、社会保障のサービス水準が変わらないとすると、数少ない若者に重税を課さない限り、借金は増え続けることになる」

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