年金減額!マクロスライドがついに始動 将来世代の給付改善はできるのか

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低インフレに戻ったら、マクロ経済スライドは再び凍結されるのか(撮影:今井康一)

少子高齢化への対策として公的年金給付を自動的に削減する「マクロ経済スライド」が、2015年度に初めて発動されることが1月末に正式決定した。

2015年度の名目年金給付額は、2014年に消費者物価が上昇したため、16年ぶりに増加する。だが、本来なら、物価上昇を加味した名目手取り賃金上昇率2.3%を年金給付に反映させるところ、今回は増加幅が物価上昇分よりも抑制され、年金の価値は目減りする格好だ。

具体的にはマクロ経済スライドによる0.9%と、過去のデフレ(物価下落)期に年金給付を下げなかった特例水準の解消分0.5%を差し引き、0.9%の増加にとどめる。

4月分の給付から適用される新たな年金月額は、自営業者らが加入する国民年金で満額6万5008円(前年度比608円増)、厚生年金(夫婦2人の標準的な世帯)で22万1507円(同2441円増)。マクロ経済スライドによる調整分として、それぞれ約600円と約2000円が差し引かれている。調整率は被保険者の減少率と、平均余命の延びから算出される。

現在の高齢世代も給付削減から逃れられない

今回のマクロ経済スライドの初の実施で、新たに認識が広がりそうなのは、現在の高齢世代も給付削減から逃れられないという現実だ。

60歳より上の年金受給世代では「自分たちは逃げ切れるが、若い世代は年金が減ってかわいそう」といった話をする人が多い。だが、これは完全な勘違い。マクロ経済スライドは、すでに年金を受給している、「既裁定者」も対象になってくる。

しかも、新たに年金を受給する「新規裁定者」の年金額改定(スライド)には名目手取り賃金上昇率が使われるが、既裁定者には、通常の経済状況なら名目手取り賃金上昇率よりも低くなる、物価上昇率がスライド率に適用される。既裁定者のほうが新規裁定者よりも年金の目減りが速いのだ。結局のところ現在の高齢層から若年層まで、どの世代でも、85~90歳以上になれば、給付水準(所得代替率)はおおよそ同じレベルで底ばいとなることが、政府の年金財政検証結果でも示されている。

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