無人攻撃機ドローン、その秘密の開発史とは? 必要は発明の母、戦争は必要の母である

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佐藤:「仕事をするといっても、僕は商売についてはまったくの素人だ。日本では情報にカネを払う文化がない。シンクタンクのまね事をしてもうまくいかないよ。それよりも雑文をつづって糊口をしのいでいる方がいい」

友人:「ハイテク兵器を扱わないか。イスラエルのサイバー防御技術やUAVは国際的にも能力が高い。世界中のあちこちで需要がある」

私の経験の範囲では、イスラエル人は無人飛行機をUnmanned Aerial Vehicle(無人航空機)もしくはUninhabited Aerial Vehicle(人の乗っていない航空機)の略語であるUAVと呼び、Drone(ドローン)とは言わない。

著者が、<最近ドローンという語には「殺人ロボット航空兵器」というイメージが定着してきたと心配する人もいる>(本書400ページ)と指摘している通り、イスラエル人はドローンという言葉が暗殺兵器を連想させることを嫌がっているのであろう。これに対してロシア人は、何の抵抗もなくドローンという単語を口にする。

米国製よりも、ずっと安い

佐藤:「どうせ日本は、米国製のUAVしか買わないよ」

友人:「そうでもないと思うよ。イスラエル製のUAVは米国製と比べて圧倒的な価格競争力がある」

佐藤:「どれくらい安いんだ」

友人:「兵器の値段はあってないようなものだけど、米国製と同じ性能で数分の1から10分の1になる。しかも米国製よりも操縦しやすい」

佐藤:「どうしてそう言えるんだ」

友人:「実戦の経験が違う。米国は、コソボやアフガニスタン、パキスタンでUAVを使ったが、イスラエルはレバノン、パレスチナで毎日のように使っている。標的に対する命中率も圧倒的に高い。日本も米国製UAVと並行してイスラエル製のUAVを使ってみるといい。自衛隊だけでなく、福島第一原発の調査、種まき、行方不明者の捜索など、幅広く活用することができる。そもそもUAVという発想がイスラエルから生まれている。それが米国に渡って、プレデターになった。イスラエルでは、プレデターとは別の系譜のUAVが発達した」

佐藤:「君から話を聞くだけで十分だ。武器商人の世界は奥が深いので、首を突っこまないようにしておく」

友人:「そうか。残念だ。でも気が変わったら、いつでも声をかけて欲しい」

私は武器商人よりも作家の方が性に合っているので、イスラエルの友人に「気が変わったので、その話に一口噛ませてくれ」と相談することは、恐らくないと思う。

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