織田信長「実は保守的」カリスマ像が揺らぐ事情 長篠の戦いで「鉄砲三段撃ち」はなかった?

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ですので、馬揃えを見た正親町天皇や誠仁親王や公家たちは、怖がるどころか大喜び。よっぽどテンションが上がったらしく「もう1回やって!」という再度のオファーを出し、信長はそのアンコールにもお応えして2度目を開催しているくらいです(2度目は規模を縮小してます)。

これは1つの例ですが、どうやら信長と朝廷との関係は良好だった。というか、戦前までの信長は〝勤王家 〞として知られていたくらい、朝廷に対して手厚いバックアップをおこなっていたんです。

家臣の裏切りにいつもノーガードの信長

ただ、こうやって書くと、従来の勢力ともマイルドに付き合える、いかにも外交に長けたコミュニケーション抜群の人物像が浮かび上がってくるのですが、これまたそんなことはないと言うかなんと言うか……。ご存じの通り、信長自身のクライマックスは「本能寺の変」です。明智光秀の裏切りによって最期を迎えています。

しかし、忘れちゃならないのが、光秀の裏切りが一発目ではないということ。信長さん、とにかくよく裏切られているんです。大名で言えば、浅井長政、武田信玄。家臣で言えば、松永久秀、荒木村重。外交上手だったり、コミュ力高めであれば、ここまで裏切られないだろうというくらい、とにかくみんなからそっぽを向かれる。

しかも、裏切りの報告を受けたときのファーストリアクションは誰のときもつねに一緒。

「え、ウソ!!!?」

そう、いつも想定外なんです。

裏切られるその瞬間まで、相手が不満を抱えてることにまったく気付いてない。もしかすると信長、「1回ダチになったらその友情は永遠だ!」と、ヤンキー漫画のような思考だったのかも。そう疑わざるを得ないほど、ここに関しては手を打てておりません。

さて、ざっとのご紹介になりますが、〝最近の信長〞の一部分をつづらせていただきました。ただどうでしょう。彼にはまだ、戦術面や政策面での革新的なアイデアの数々が残っている。やっぱりカリスマだぜ信長。と、思われた方もいるのではないでしょうか? しかし、そのイメージがくつがえるかもしれません。

たとえば、信長の事績の中でもたびたび取り上げられる三段撃ちや楽市・楽座。ひと昔前までは教科書の中でも燦然と輝き、学校の先生も力説していたであろうこれらの発明も現在では……というところは河合先生に解説をお願いいたしましょう!

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