東大「期末試験はコロナ救済なし」で陥るジレンマ 陽性・濃厚接触者は登校自粛なのに…学生が猛反発

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学生は弁護士を立て、教養学部長と教務課長宛に異議申し立てと単位不認定撤回を求める内容証明郵便を発送。学部側はこれに「特段の対応はしない」と返答したが、学生は法的措置も辞さない構えだ。

根底には、コロナ罹患者や濃厚接触者に対して特別措置は取らないとする東大教養学部の頑なな姿勢がある。ほかの大学はどうか。

東洋経済の取材に早稲田大学は「新型コロナ感染者、濃厚接触者を含め、やむをえない事情で授業や試験を欠席した場合、成績評価において不利にならぬよう担当教員に配慮を願い出ることができる」とした。慶応義塾大学は「新型コロナ感染者・濃厚接触者等には特別措置を講じている。内容(試験、レポートなど)は各学部・担当者により異なる」と回答。東大と同じ国立の大阪大学は「コロナに限らず、やむをえない理由で欠席した場合は追試やレポートで代替できる措置を講じている。学生が不利益を被らないよう配慮している」とした。

文科省「学生が一方的に不利益を被ることがないよう」

文部科学省高等教育局は「単位取得や留年について不安を抱えている大学生は多い」としたうえで、一般論として「コロナが原因で学生が一方的に不利益を被ることがないよう大学には丁寧な説明、対処を求めたい」と回答した。

コロナ特別救済措置の撤廃について東大教養学部は東洋経済の取材に「2022年度からは原則対面授業を実施するなど活動制限は大幅に緩和され、コロナ感染拡大初期と比較すれば状況は大きく変わっている。代替措置(編注:コロナ特別救済措置)は定期試験における感染拡大予防を目的とし、感染が疑われる学生に登校しないよう促すために導入した。今回の定期試験においてはマスク着用、手指消毒の徹底等の感染予防体制をとっており、大きなリスクは生じないと判断している」としたうえで、「本学の進学選択制度は、その平均点が進学先決定における主要な評価基準になる。学生間の公平性がきわめて強く求められる。現在実施中の定期試験は既に3分の2以上の日程が消化されており、この進学選択制度の公平性を担保するためにも、現時点からの変更は適切ではない」と、あくまで撤廃方針は維持するという。

一方、「罹患及び濃厚接触者となった場合にそのことを認識しながら登校することは厳に慎んでもらいたい」とも回答した。そうであればコロナに罹患した学生や濃厚接触者の学生は登校が認められず、試験は受けられない。第7波が猛威を振るう中、救済措置がなくてもよいのか。東大の見解には疑問が残されている。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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