ある教官は学生からの問い合わせに「原則通り、コロナ感染等に伴う代替措置はなしとせざるを得ません」と返信した。「感染された方、濃厚接触者となった方には、個人的には大変気の毒に思うのですが、これは大学としてインフルエンザなどの他の疾病と同等に扱うという判断ですので、私が個別の判断をすることは適切ではありません」と代替措置を求める学生の要求を退けた。
一方、「学生の皆さんの発議には全面的に賛同します」と学生たちにエールを送り、独自の救済措置を考案した教官も複数いる。学生のみならず、教官の中にすら教養学部が下した決定に疑問を呈する人が少なくないのだ。
「コロナ感染」で留年か
コロナ感染者や濃厚接触者に対する大学側の配慮の欠如は、別のところにも表れている。
「このまま留年となってしまうのか……」。こう言って唇を噛むのは教養学部2年の男子学生だ。医学部への進学を予定していたこの学生は、ある必修科目が単位「不認定」とされたため、留年の可能性が出ている。
思い当たるのが5月の講義欠席だ。学生は5月17日に39度以上の高熱や呼吸困難に見舞われ、翌18日に病院を受診。PCR検査の結果、コロナ陽性が判明した。それから一週間は意識が朦朧とし、食事もできなかったという。
その期間に実施された5月17日と24日の講義はやむなく欠席した。5月25日に担当教官にコロナに罹患していた経緯を説明し、補講を依頼。ところが教官は24日の講義については補講を認める一方、17日の講義については「講義日から8日も時間が過ぎているため対応できない」と補講を拒否した。そして、単位不認定が発表される。
当講義の教官は、欠席する場合は当日の午前11時までに連絡することを独自ルールとしていた。この欠席報告ルールを、学生はたしかに遵守できなかった。しかし「コロナに感染して苦しんでいた事情が考慮されず、コロナ禍において不適切な平時の独自ルールを守らなかったという形式的な理由で補講を認めないのは、学生の教育を受ける権利を侵害している」と学生は憤る。
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