社内のエリートが転職で成功するとは限らない 「現職」と「転職時」の評価はどこが異なるのか
次に、新卒で財閥系の大企業Y社へ入社したBさんの事例を見てみましょう。
日本の大企業では、人事部に配属されるのがエリートコースとされているケースがあります。優秀だったBさんも、人事部に抜擢され、輝かしいキャリアを歩んでいました。しかし、いずれはグローバルに活躍したいと考えていたBさんは、30歳を前にして転職活動することを決断します。
すると、人事としてのキャリアは評価されましたが、希望する職種での話はなかなか進みません。むしろ、Y社には多数いる海外営業畑の同期や後輩のほうが、Bさんが望むような企業での内定を獲得していました。
社内エリートでも、転職市場での評価に直結しない理由
実は、他業界への転職においては、前職でエリートコースに乗っていたことが、決定的な要素となることはまれです。採用企業の立場からすると当然のことですが、あくまで、「採用企業において、どの程度活躍できるのか」が評価のポイントになります。
Bさんは、人事職として転職する場合には高い評価を得られましたが、海外事業を推進するポジションへの転身は未経験だと判断されて、期待するような評価を得ることができませんでした。経験職種と応募職種の不一致が影響したケースです。
一方、Aさんのケースからは、ポテンシャルを重視した採用へ応募するのであれば、現職で経験を重ねるよりも早く転職したほうが、一般的にはキャリア形成上有利であることがわかります。仮に、Aさんが勤める銀行から他銀行へ転職する際には、X支店での経験が加点評価されることでしょう。同業界での転職であれば、前職で評価されていたスキルがそのまま活きる可能性が高いからです。
将来、転職を通じたキャリアアップを検討されている方には、まずは人材市場で評価されることが何かを把握したうえで、社内のキャリアを選択することをお勧めしたいと思います。どうしても会社にいるうちは社内評価を気にしてキャリアを選択してしまいがちですが、一歩外に出たら関係ないということが珍しくないのです。
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