脳の活動低下を招く「自己否定」する人の特徴3つ 傾向を知ってマイナス思考のスパイラルを回避

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その葛藤の中で、自分を律し、正しくて善い行動を行う人もいます。自分の中に「こうありたい」とか、「これだけはやってはいけない」という規範ができているからこそ、自分を律することができるのです。

自分の中の基準、道徳心といってよいでしょう。これが曖昧な人は、自分の欲望に流されて、自分の中の悪が勝ってしまうのです。すると、結果として自分自身を受け入れることが難しくなり、自己肯定感も育ちにくいということになります。

◎根拠のない優越感に取りつかれている人

自信満々で、何事にも積極的な人は、一見、自己肯定感の高い人に見えます。ただし、なかには「過剰な自意識」と、半ば妄想に近い万能感に基づいた「虚構の自己像」に酔っているだけの人がいます。あなたの周りにも、こんな「イタい」人がいるのではないでしょうか?

根拠のない自信や万能感は、幼児性からくるとされます。

赤ちゃんはおなかが減ったり、排泄をしたりすると、大声で泣くことで自分の状態や要求を伝えます。すると、すべての世話を親や周囲の人がしてくれます。ある意味、自分が世界の中心であり、つねに誰かから手が差し伸べられる存在です。そんな幼児の万能感や自己中心的な感覚は、通常は成人するほどに現実を知ることで、消えていきます。

ところが、まれにその感覚が成人しても残っている人がいるのです。当然のことですが、冷静な自己認知に基づいた自己肯定感を得ることは難しいでしょう。本来根拠のない自信ですから、それをごまかし補うため、つねに他人からの評価や賞賛を欲します。

しかしながら、他人に対する優越性を望めば望むほど、現実と自分の描いた自己像とのギャップが広がり、無意識の中では強い自己否定に取りつかれてしまうことになります。

自分と子どもを分離できない親たち

最後に、自己否定しやすい「親」の特徴を紹介しましょう。

アドラー心理学で知られるようになった「課題の分離」ということがあります。「自分の課題」と「他者の課題」を混同することで、余計な心的葛藤やストレスを抱えてしまうことです。それを避けるべく、「課題を分離しなさい」とアドラーは指摘します。

たとえば、自分の子どもにもっと勉強に力を入れて、いい学校に進学してほしいと多くの親は期待するでしょう。しかし、勉強するのは子どもであり、それによって進学、就職して人生を切り開くのは、子どもたちの問題です。

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子どもの課題に首を突っ込み、あたかも自分の課題として錯覚する親が多いのです。それによって、思い通りにいかないと嘆き、親としての自信を失ったり自己否定したりしてしまう。

そもそも子どもの課題なのですから、自分が何とかできる、何とかしようと思うことが錯覚であり、傲慢なことなのです。

コントロール不可能なことまで抱え込み、それがうまくいかないからと、自信を失い、自己肯定感を低めてしまうのは、実にナンセンスです。ところが、往々にして私たちはこの過ちを犯してしまうということを知っておく必要があるでしょう。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。著書に、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『一生頭がよくなり続けるもっとすごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1日1文読むだけで記憶力が上がる!おとなの音読』(きずな出版)など多数。

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