年齢が高い男性ほど自己肯定感が低い納得の訳 一方で自己に対する評価が高いのは中高年女性
一方、女性はどうかというと、男性ほど社会的な評価の軸が定まっていません。歴史的には、女性は家庭を守ることが役割とされてきました。家族からの信頼や愛情を受けることはありますが、男性のような目に見える形での社会的な評価というのは乏しい環境でした。
さらに、女性の社会進出がいわれるなかで、仮に男性と同じような、あるいはそれ以上の能力があっても、なかなか正当に評価されないという状況があります。
つまり、女性は社会的な評価に頼ることができないぶん、自分で自分を見つめ、自己評価せざるを得ない環境だったのです。それゆえ自己認知力は、はるかに女性のほうが男性よりも高い。男性は社会の基準に身をゆだね、それによって自分の価値を測ることに、すっかり慣らされてしまったといえます。
自己肯定感というのは、自己認知をもとにしています。それゆえ女性のほうが、自己肯定力も自己肯定感も高いといえます。男性は、女性ほど自己認知に意識を向けないため、そもそも自己肯定感を育むのが苦手なのだと考えます。
社会の評価に依存する男性の悲劇
男性の場合、自己認知ではなく「他者認知(=社会評価で自分を判断する傾向)」が強いといえます。男性が社会でバリバリと働いているうちは、それでもとくに問題はないかもしれません。ところが定年を迎え、それまで自分が属していた集団から離れると、途端に自分の評価のよりどころを失ってしまうことになります。
自分なりの価値基準や評価基準で、自分を判断することに慣れていない多くの熟年男性は、突然、自己評価、自己認知の必要に迫られることになります。
・自分が得意とするもの、苦手とするものは何なのか?
・自分とはどういう人間で、どんな価値をもっているのか?
・自分が好きなことは何なのか? 何をしたいのか?
突然突きつけられるこれらの問題に、即答できず途方に暮れてしまう男性が少なくありません。それに対して、中高年の女性たちは元気です。若いときから自己認知によって自己評価せざるを得なかった彼女たちは、先ほどのような問題を若いときから突きつけられてきたわけです。
そのなかで自己を見つめ、自分の特徴や長所をひそかに磨いてきた結果、年を取るほど自己肯定感が高まり、心の余裕と自由度が増えます。
子育てが終わって自由な時間が増えたら、何をしたいか。彼女たちは明確な目的と方向性を持っています。積極的に前向きに人生を楽しみたいという気持ちであふれているのは、熟年女性のほうが圧倒的に多いのです。
ただし、男女の差はありますが、現代は誰しもが競争社会の中を生きています。ビジネス社会でも売上評価、出世争いなど、結局は会社や社会が作ったモノサシ=社会評価で順位づけられてしまいます。その意味で、現代社会は「他者認知社会」といっても過言ではありません。
それにどっぷりとハマってしまうと、男性、女性関わらず「自己認知」よりも「他者認知」のほうが優先になってしまいます。
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