このように1人ひとりのキャラクター設定が徹底しているため、早い段階から視聴者に「推し」決めを促し、推しがいればいるほど、脱落者が決定する番組お決まりの「ローズ・セレモニー」場面で感情移入しやすくなります。タイのチェンマイで共同生活する男性陣を「箱推し」的に楽しむこともできます。男同士の友情も作られ、男泣きが今回もたびたび発生します。言わば、沼にハマる仕掛けが作られているのです。
今回の「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン2には厳しい評価も集まっています。予定調和ではないリアリティー番組は最後の最後で評価をひっくり返すことがありますから、あくまでも最終話前の評価にすぎませんが、Amazonカスタマーレビューに星1つが全体の半分近くを占めています。その多くは「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン1と比較した評価にあり、人間ドラマの深みに欠けた点が指摘されています。
否定できない一面でしょう。最大の見せ場である家族紹介シーンで美紀さんの本音や男性陣の隠された思いを追ってはいるものの、表面をぬぐっているようなもどかしさは残ります。
ただし、集まる評価は決してほかの番組との比較ではないことがバチェラー/バチェロレッテシリーズの強さにあります。前シーズンを見返す視聴を促すのみならず、高評価シーズンを新たに視聴させるきっかけまで作り出すからです。
シリーズ全体で楽しませる仕掛け
2017年から始まった同シリーズは「バチェラー・ジャパン」がこれまで4シーズン、「バチェロレッテ・ジャパン」は今回を含めて2シーズン、計6シーズンにも重なります。「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン1に参加した実業家の黄皓さんは4代目バチェラーとして戻るなど、シリーズ全体で楽しませる仕掛けも作られています。
参加者が変われども、解説的役割のスタジオトークメンバーは固定し、バチェロレッテ版ではナインティナインとSHELLYが出演を継続しています。また全シリーズを通して、司会進行役として俳優の坂東工がそのポジションを確立させ、安定感を生み出しています。この固定されたシンプルなフォーマットも人気を支えています。
ドラマやアニメほど、熱狂的なファンを作り出しにくく、グッズなどビジネス展開に広がりにくいリアリティー番組ですが、解約防止のコンテンツとして有効的と言われ、ほぼ同じ型で長いスパンにわたって継続視聴させる力を持っていることが最大の利点です。最低評価まで養分にしながら、バチェラーシリーズ最強説はまだまだ続いていくのではないでしょうか。
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