羽生結弦のプロ転向会見に見た圧倒的な人間の幅 揺るぎない自負と「つらさや弱さをさらけ出す」強さ

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これは「トップに立つ人こそ常に自問自答していくことが重要」ということではないでしょうか。逆説的に言えば、「プロ転向」という別の道も含めて考えることが、羽生選手の奮闘や成長の原動力になっていたようにも見えます。世界を問わず「トップの人ほど孤独」と言われますが、1人きりで考えることや、そこからくるプレッシャーから逃げず、向き合い続けることで結果につなげられるのでしょう。

今後、羽生選手はプロになることで、基本的に技術レベルのジャッジは自分が下していくことになるのではないでしょうか。自負と美意識が人一倍ある羽生選手にとっては、より厳しい道にも見えますし、それを選ぶ人だからますます期待したくなってしまうのです。

そしてもう1つ感心させられたのが、「プロのアスリートとして今後の最優先事項を3つ挙げるとしたら?」という最後の質問に対する受け答え。羽生選手は1時間を超える会見の最後に向けられた難問に悩みながらも、「成功させられる努力をすること」「人間として美しくあること」「常に勉強し続けること」の3つを挙げました。

特に驚かされたのは3つ目の「常に勉強し続けること」。羽生選手は「最近、『ダンスを上手くなりたいな』とか、『氷上でうまく使えないかな』とかって思って学んでいたりとか。あとは力学のことだったりとか、運動学だったりとか、人間工学だったりとか。また、『パフォーマンスをどういうふうに見られるのか』とか、『どういうふうに評価するのか』とか、そういったことも含めてこれからもどんどん勉強して、どんどん深い人間、深いフィギュアスケーターとしてなっていきたいなと思うので。常に勉強し続けられる、アップデートし続けられる人間でありたいなって思います」と楽しげに話し続けたのです。

まさに「向上心の塊」を思わせる話しぶりであり、競技会引退会見での言葉とは思えません。自分の実績や経験値とは別次元での向上心を持つこと。また、その気持ちをかっこつけずに口外していくこと。それが羽生選手のような自他ともに認められる人間に近づくためのアプローチに見えるのです。

「つらさや弱さをさらけ出す」強さ

最後にビジネスパーソンのみなさんにぜひ覚えておいてほしいのが、羽生選手が見せた「つらさや弱さをさらけ出す」という意味での強さ。いまだに「トップに立つ人は泣き言を言ってはいけない」「男なら我慢すべき」などの昭和的な価値観に縛られるビジネスパーソンも少なくありませんが、羽生選手の言葉はそんな風潮に一石を投じているように見えるのです。

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