トヨタとテスラの勝負を占う3つの重大ポイント 「論語と算盤」が意外なカギを握るかもしれない

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長年、トヨタのこうしたオペレーションシステムは「世界最高」と評価され、世界中で研究されてきました。『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)の著者、佐藤智恵氏は自著にこう書いています。

「ハーバードの学生は、1年目の必修科目『テクノロジーとオペレーションマネジメント』でトヨタの事例を学ぶ。グローバル企業の経営者や管理職を対象としたエグゼクティブプログラムでも、真っ先に学ぶのがトヨタの事例だ。ハーバードで20年以上、オペレーションを教える前出のアナンス・ラマン教授は『私はトヨタの大ファンだ』と公言してはばからない。『オペレーションの存在目的は、”普通の人々が力を合わせて大きな偉業を成し遂げること”です。トヨタほど、それを伝えるのに適した会社はありません』」

次世代自動車産業を見据えたアップデートも行われています。岡田政道チーフ・プロダクション・オフィサーは、2021年6月のプレゼンテーション「未来を拓く大切なものづくり」において、2035年までに世界の自社工場のCO2排出量をゼロにし「グリーンファクトリー」を目指すことを発表しました。

最少の塗装で最大の塗布効果を発揮できる塗装技術など、そのための技術開発も進んでいます。AIなど、先端技術の掛け算も進行中です。例えば、機械学習によって不良品の検査を自働化、省人化。のみならず、そこで蓄積した膨大なデータから「不良品を出さない」ための改善へとつなげる、としています。

テスラvsトヨタ 勝負の分かれ目

テスラvsトヨタ、その勝負の分かれ目はどこにあるのか。私が考えるポイントは次の3点です。

1)「物理学的思考」対「トヨタ生産方式」

これはすでに述べた通りです。両社の戦いは、製造プロセスにおける思想、哲学の戦いでもある。しかし、製造している品そのものが異なるため、これが現時点で勝負を決定づける要因にはなりえないでしょう。

2)「未来予測」対「変化に対応する」

メガトレンドをつかみ、価値観の変化をつかみ、それを踏まえてビジョンを描いて、迅速に行動するのがイーロン・マスクの行動様式です。環境問題の深刻化というメガトレンドから、EVやクリーンエネルギーのエコシステム、そして宇宙ロケットという壮大なビジョンを導き出し、それを1つひとつ具現化しているのが、テスラという会社。すべての始まりには大胆な未来予測があります。

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