ひろゆきと竹中平蔵が問う日本の官僚組織の問題 抜本的に改革できない根本的理由はどこにあるか

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竹中平蔵さん(左、撮影:今祥雄)とひろゆきさん(右、写真:本人提供)の対談最終回です
日本一嫌われた経済学者・竹中平蔵。
現在パソナグループ会長を務める竹中氏は、〈派遣労働〉の象徴的な存在としては、多くの国民から嫌悪されています。
そんな竹中平蔵が嫌われる理由と背景を、今や日本を代表するインフルエンサーの一人である「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」設立者・ひろゆきさんが徹底追及する、最新刊『ひろゆきと考える 竹中平蔵はなぜ嫌われるのか?』。今回はその中から、日本で改革が進まない根本的な理由について議論している箇所を、一部抜粋してお届けします。

「見えざる手」と「万能の王」の振り子

竹中 平蔵(以下、竹中):日本は際立っているので残念ですけど、他の国でも多かれ少なかれ抜本的に改革できないという問題がありますよね。世界共通の問題とも言えます。民主主義の中では、万能の独裁者が全部決めるということはできません。

パワーバランスや支持率といったものを考慮しながら決まっていきますから、じれったいと言えばすごくじれったいし、虚しいと言えば虚しくもある。ただそれが現実、リアリズムだとわかった上で、何ができるかを考えていくしかないと思うんです。

歴史の話になりますが、経済学の始まりはアダム・スミスの『国富論』だと言われています。刊行されたのは1776年、アメリカの独立宣言とも重なる年です。その中でアダム・スミスは「見えざる手が働いている」と言ったわけです。

それ以前にはトマス・ホッブズの『リヴァイアサン』(1651年)という本が書かれていて、清教徒革命などで混乱した社会状況があった。その『リヴァイアサン』には「万能の王が出現する」と書かれています。何でも完璧にできる王様がいて、その人が全部決めるのがいちばんいいと言っているわけです。

それに対して、アダム・スミスは「市場は失敗するけれど、政府の失敗はもっと恐いから、独裁者に任せないで見えざる手でいろいろやっていくのが現実的だ」と応えた。どの国のどの時代でも必ず問題はありますが、その際に「見えざる手に任せるべきだ」という思考と、「万能の王が全てやるべきだ」という考えの両極端に振れながら議論は進んでいきます。

今はどちらかと言うと「万能の王」がほしいですよね。ただし、ロシアのプーチン大統領のようになると大問題ですが……。

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