そこで「クラウンとは何か」を徹底的に見つめ直し、導き出した答えがSUVだったというわけだ。さらに豊田氏が「セダンも考えてみないか」と提案し、今回の第1弾モデルであるクロスオーバーが誕生した。
クラウンを開発してきた歴代主査の“確信と挑戦”を振り返り、そこで得たのが「クラウンという固定観念」からの脱却だ。中嶋氏は、「内向きに決まりごとを作って身動きできなくなっていた」と話す。
たしかに、最初から「クラウンはFRのセダンであるべきだ」として生まれたわけではないし、歴代の中にはあえてドラスティックな変化を遂げたモデルもある。時代に合わせて変化をすることに、何も問題はない。むしろ、変わらなければユーザーは離れていくばかりだ。
今回の新型クラウンが16代目にあたることになぞらえ、豊田氏は「これは明治維新だ」と言った。「徳川幕府は15代で終わった。しかし、クラウンは15代で終わらせない」と。
さらに、これまでほぼ国内専用だったクラウンをグローバルでの“トヨタブランドのフラッグシップ”と位置づけ、世界40の国と地域で、年間20万台規模で販売するという。
唯一の心配事は納期か…?
グローバルで考えれば、4つにボディタイプを用意することもFRプラットフォームを捨てたことにも納得がいく。歴史あるブランドネームを使って、トヨタの高級車を再構築していこうというわけだ。
「『日本のクラウンここにあり』それを世界に示したいと思っています」。この言葉が、これからのクラウン、そしてトヨタのメッセージなのだろう。クロスオーバーに続く、スポーツ、セダン、エステートの登場も楽しみだ。
気になるのは、「いつ発売になるのか」ということ。そして、「納期がどうなるか」ということだ。半導体不足や部品の納入遅延により、新車の納期は長期化する一方だ。商品力や販売力ではどうにもならないことだが、「日本から世界へ」の発信が不発に終わらないことを祈りたい。
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