松本明子さんも経験「実家は結局、賃貸が難しい訳」 専門家が教える実家の売却・賃貸経営のリアル

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松本明子さんのご実家の台所

上田:実際に現地にお邪魔して拝見しましたが、眼前に広がる光景は絶景でしたね。ご実家の造りも見事でした。

さすがに宮大工さんが建てただけあって、柱、梁(はり)、屋根、基礎と大事な構造部分がしっかりしていて、当時すでに築40年以上経っていましたが、あと50年は住めると思いました。それくらいよく管理もされていました。

松本:父のこだわりの家でした。

上田:ところが松本さんの場合もそうですが、子どもたちは学校を終えると実家を出て独立し、自分で家を持ちますから、ニュータウンのマイホームには高齢になった親だけが住んでいる、というケースが多いんですね。

その場合、親の他界や施設への入所、子どもとの同居などによって住む人はいなくなります。売るなり貸すなりしない限り、空き家になるわけです。

この状態があちらこちらのお宅で起きている。

松本:そうなると、売ったり貸したりするのは……。

上田:なかなか難しいですね。人が出ていくばかりの町では、小・中学校の規模も小さくなり、スーパーや銀行も撤退して、頼りになるのは郵便局だけというところも珍しくありません。

町は活気をなくし、ますます人が出ていくようになります。いまニュータウンに行くと、空き家の隣は老夫婦、その隣は独居老人、というケースがとても多い。ニュータウンの空き家率は、ひどいところだと3割を超えています。

かつてのニュータウンは、いまやオールドタウンで、売り物だらけなのです。

松本:空き家率が3割ということは、3戸に1戸は空き家ですか……。

上田:そういう地域では、空き家を売りたい、貸したいと考える人が多いですから、物件が市場で滞留してしまいます。

空き家が多い地域での売却、賃貸は苦労します。

空き家処分は、結局「売却」になることが多い

松本:郊外の場合は少し難しいところがあるにしても、都市圏の場合は人口も多いですし、空き家の処分はしやすいですよね?

上田:そうですね。実家の空き家処分は、大きく売るか貸すかの2つですが、都市圏であれば、売却はどの地域でも選択肢になると思います。賃貸に関しても比較的広い地域でニーズはあるはずです。

ただし、実際に空き家を賃貸に出す人はほとんどいません。私どものところに相談に来られる方は、みなさん最初は売却と賃貸を半々くらいで検討されていますが、最終的には98~99%の方が売却を決断されます。

松本:田舎じゃなくて都市部でもそうなんですね。なぜですか。

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