大型新規上場、大塚グループが直面する2015年の試練
米国の大手製薬企業ブリストル・マイヤーズ スクイブ。同社の収益を支えているのが、大塚製薬が開発した抗精神病薬エビリファイ(米国での製品名アビリファイ、一般名アリピプラゾール)のセールスプロモーション(販売促進)収入だ。ブリストル社の2010年12月期決算でエビリファイの売上高は25億ドル。年間売上高195億ドルの同社にとって、エビリファイは売上高で第2位に位置する重要品目だ。
エビリファイは大塚グループの主力製品だ。大塚ホールディングス(大塚HD)の10年3月期連結決算におけるエビリファイの全世界売上高は3745億円。連結売上高1兆0843億円の実に35%を稼ぎ出している。
大塚製薬はブリストル社との間で、米国でのエビリファイ売上高の一定部分を支払う契約を結んでいる。09年までは米国売上高の65%、10年同58%、11年53.5%、12年51.5%を大塚製薬がブリストル社に分配するというもの(13年以降もブリストル社の取り分はさらに減少)。そのほか10~12年には、米国における販売促進費の30%、13年以降は50%を大塚製薬が負担するという内容だ。
販促活動の大半を依存するという理由から、02年に米国で発売されて以降、米国販売の取り分はブリストル社が多くを得る契約になっていた。しかし、09年4月の契約更新に際し、大塚製薬は10年以降の取り分を大幅に増やすことに成功。15年4月に米国で特許が切れるまで、同社に入ってくるエビリファイの利益は年々の増加が確実視されている。
主力薬特許切れ後の対応策が市場の焦点
このように成長基盤を確立したうえで上場にこぎ着けたことにより、大塚HD株の時価総額(3月2日の終値で1兆1257億円)は武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共に次ぐ業界4位に到達。食品大手のキリンホールディングスをしのぐ。
ただ、現在までの株価はあまり芳しくない。昨年12月15日上場日の初値2170円を割り込んで推移。今年2月14日の株主優待の発表(100株以上所有する株主に対して、3000円相当の大塚グループ製品を贈呈)にも、株価は目立った反応を見せなかった。上場をきっかけとした同社OB株主による換金売りの圧力があると指摘される一方、証券アナリストの間でも、同社への評価はさまざまだ。
◆大塚HDの業績予想、会社概要はこちら
[+画面クリックで詳細チャートを表示 <会員登録(無料)が必要です>]