大型新規上場、大塚グループが直面する2015年の試練

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10年3月期連結決算で、NC関連事業の売上高2470億円に対して営業利益はわずか23億円。消費者関連事業に至っては84億円の赤字。NC事業も本社経費などを配分し直した場合、赤字の可能性が高い。オロナミンCやポカリスエット、カロリーメイトといったオリジナリティの高い製品を数多く持つ一方、ここ10年はポカリスエットに匹敵する新たな柱が育っていない。大豆関連製品のSOYJOYなどをどこまで伸ばせるかが焦点だ。

こうした非医薬品事業については、株式市場関係者の間では、販売経費の削減を求める声が多い。

「広告宣伝費の絞り込みなどの問題解決は、上場前に実現しておいてほしかった」と酒井氏は話す。

樋口社長も非医薬品事業の収益立て直しに力を入れると言明。NC関連事業について、1990年代レベルの「売上高営業利益率2ケタ」の回復を目指すとしている。

言うまでもなく、大塚グループは斬新な製品開発で新たな市場を創り上げてきた企業集団だ。経営陣も、現在の延長線上に未来を描いているわけではない。

株式市場の声を謙虚に聞くのみならず、独創的な製品開発を粘り強く続けていく姿勢が必要だ。株式上場を新たな飛躍につなげることができるのか。「世界で5指に入る傑出したヘルスケアグループ」(樋口社長)への挑戦が始まっている。

(麻田真衣、岡田広行、島田知穂、高橋志津子 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年3月12日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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