「ブルウィップ効果」は日本でも発生している可能性がある。
自動車などの加工業種の在庫の状況は、日銀短観の「製商品在庫水準判断 DI」と「製商品流通在庫水準判断 DI」で確認できる。それぞれ調査の内容は下記である。
回答企業の売上高などに照らしてみた製商品在庫の過不足についての判断。
<選択肢>「1.過大~やや多め」、「2.適正」、「3.やや少なめ~不足」
回答企業の主要製商品の属する業界の、国内および海外における流通在庫の過不足についての判断。
<選択肢>「1.過大~やや多め」、「2.適正」、「3.やや少なめ~不足」
製商品在庫と流通在庫の稀な乖離が起きている
すなわち、「製商品在庫水準判断 DI」(〈「過大」-「不足」〉の回答比率)は企業における在庫を示しており、原材料や仕掛品、完成品の積み上がり状況を示している。一方、「製商品流通在庫水準判断 DI」(同)は市場で流通する商品(完成品)を示すため、原材料や部品は対象となっていないことが推測される。
自動車のデータを確認すると、コロナ禍以降には「製商品在庫水準判断 DI」が上昇し、「製商品流通在庫水準判断 DI」が低下する、という乖離がみられる。一部のボトルネック部品のせいで完成品が少なくなっている(流通在庫の減少)一方、原材料や仕掛品が積み上がっている(製商品在庫の増加)と推察できる。
このように「製商品在庫」と「流通在庫」の水準判断 DI が乖離することは非常に稀で、最近では東日本大震災の影響があった2011年以来の動きである。なお、このような傾向は加工業種全体でも見られている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら