デフレ圧力再燃か、注目の「ブルウィップ効果」 日本でも製商品在庫が増加、先行きに注意

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コロナ禍によるサプライチェーンの混乱で「ブルウィップ効果」が起きやすくなった(写真:Bloomberg)

マイケル・ルイス氏のベストセラー『世紀の空売り(ザ・ビッグ・ショート)』で有名になった投資家のマイケル・バーリ氏は6月27日、ツイッターで「インフレ時代」の終わりを示唆した。

きっかけはアメリカの小売り大手で相次いでいる在庫調整への懸念だ。バーリ氏は「小売りでの供給過剰はブルウィップ効果である」「このデフレの脈動が今年後半のCPI(消費者物価指数)のディスインフレ→FRBの金利とQTの反転へとつながりうる」と述べた(訳は筆者)。

(本記事はグラフと併せてご覧ください。外部配信先ではグラフを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でご確認ください)

「ブルウィップ効果」により小売りでは供給過剰

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キーワードの「ブルウィップ効果」(牛のムチ効果)とは、一言で言えばサプライチェーンにおける「伝言ゲームの失敗」のようなものである。

具体的には、最終顧客(川下)の情報が原材料供給者(川上)までサプライチェーンを伝わっていく過程で、予測誤差が大きくなることを指す。川上の産業ほど景気変動の影響が強く出やすくなってしまう、という効果である。川下から始まった動きが川上に行くほど影響が大きくなる動きが「ムチ」に例えられている。製造業では在庫の存在によってサプライチェーンに過剰なストレスがかかることが少なくない。バーリ氏は最近の小売業での在庫増をこのブルウィップ効果と関連させて警鐘を鳴らした。

実は「ブルウィップ効果」は一部のエコノミストの間では昨年から注目されてきた。2021年12月、BIS(国際決済銀行)のリサーチヘッドであるHyun Song Shin氏は国際会議においてコロナ禍における「部品不足」の問題に対して、「サプライチェーンの参加者は、より多くの注文、早期の注文、投入物の蓄積によって、認識された不足に対応する。この種の反応は、単独で考えると賢明で合理的だが、最終的には自滅的な結果につながる可能性がある」 とした。

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