伝授!これが「自前広告コピー」の作り方だ 小霜和也、本田哲也が語る広告の今(上)
代表的な例は通販会社です。彼らはどの属性のお客さんがどんなルートをたどって通販サイトに訪れたかといったデータをたくさん持っていてそれらを分析することで戦略を練っています。そしてそれらのデータは門外不出です。代理店でさえ共有できない情報ですから、データを基にしたクリエイティブは自社でやった方がいいという話になっていく。企業によっては、データを分析して解釈できる営業がコピーを書いているほどです。
あるいは、コモディティ化も起因するでしょう。アップルが頑張ってiPhoneを作っても、すぐに同類のスマホが発売されます。情報がすぐさまキャッチアップされて似た商品がリリースされるのならば、商品そのものの良し悪しではなく、「商品を買いたくなるような素敵な企業」を目指すべきでしょうし、実際にそうなろうとしている。
みんなに好かれる企業になるために必要な“企業のカルチャー”を深く理解しているのは当然のことながら内部の人間ですので、ここでもコピーライターの自前化にこだわる理由がでてきます。
最近は注目度の高い広告を実施したにも関わらず、売り上げにつながらなくて社長が激怒……といった話をよく耳にするようになりました。いくら広告が有名になっても、成果が出ないのではプロにお願いする意味がなくなります。
自前コピーの作り方とは
とはいえ、外部のコピーライターが担うべき役割もあります。まず、社内のクリエイターは“データドリブンライター”の性質になるのではないかと思います。データドリブンライターというのは、社外に出せないデータの分析から導かれるインサイトをもとにコピーを書くようなクリエイターです。
しかし、社内のクリエイターは商品やターゲットを客観視するのが難しい。そこで、外部のクリエイターは生活者の視点に立ってインサイトを見つけコピーを書く役割を担うことになります。
今後は、中にいる「データドリブンの人」と、外にいる「ターゲットインサイトを掴む人」を掛け合わせる関係性になっていくと思います。
そんな大きな流れがあるなかで、中小企業や自営業の方が自前広告をどう作ればいいのか。大事なのは「心と技」です。なぜなら商品やサービスは、“誰かを幸せにするためにある”から。広告の基本は、商品・サービスを得たターゲットの“幸せMAX”を描くことと心得ましょう。
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