伝授!これが「自前広告コピー」の作り方だ 小霜和也、本田哲也が語る広告の今(上)

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おむつを事例にPRの極意について説明する本田氏

続いて本田氏のプレゼンテーション

小霜さんの「心+技」というお話に共感しました。PRではこれに「世間」がプラスされ、「心+技+世間」になります。PRの極意とは、「商品と世間をつなげること」なのです。

ここで二つほどPRの成功例をご紹介します。商品はおむつ。「従来品より吸水力があがりフィット感もアップした」という特長があります。ただ、世間的にはおむつの革新が大きな話題になるかというとそうではない。世間の関心からは少し遠いわけです。

どうしたかというと「赤ちゃんの睡眠」にフォーカスしたのですね。その頃世間では子どもがキレやすいという問題がマスコミで取り上げられていました。その理由は不安定な睡眠にあるというのです。睡眠が不安定になることで精神を安定させるセロトニンという物質の分泌が狂っているといるとか。

世間と商品をどうつなげるのか

そこで、赤ちゃんの睡眠と、「機能性が高く快適なおむつ」を掛け合わせ、「快適なおむつがあれば赤ちゃんの睡眠が安定する」という話題を作り、メーカーの関心と世間の関心を結びつける戦略をとったという成功事例です。

もう一つは約3年前の事例。商品はカルシウムとビタミンDがしっかり入っており骨密度をサポートするヨーグルトです。女性は、50代以上になると骨密度がさがりやすいということで、ターゲットを定めました。

その頃ターゲットの50代女性の関心が何だったかというと「美魔女」です(笑)。考えてもみてください。もっともっとキレイになりたいと努力する人に、「骨の健康」の話をしても、「それは80代のおばあちゃんの話題でしょ?」とまったく刺さりません。ここでもメーカーと世間の関心にギャップがあったのです。

で、あれば、なんとしても美容と結びつけなければなりませんよね。結果的には「骨がスカスカになると、見た目に影響しますよ」というアプローチをすることになりました。具体的な方法としては、骨が弱くて背中がまるまった女性と、骨が強く凛と姿勢が良い女性とを見比べて、年齢がどのくらい違って見えるかを調査し、骨をケアする大切さをPRしました。これにより、骨密度をあげるヨーグルトと世間の関心をつなげることに成功したのです。

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