伝授!これが「自前広告コピー」の作り方だ 小霜和也、本田哲也が語る広告の今(上)

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例をあげます。先日、広告代理店時代の先輩が会社を辞め、整骨院を開業すると言いだし、大変驚きました。ただ、詳しい話をきくと納得できるところがありました。

先輩は大のゴルフ好きで何歳になってもゴルフを楽しみたいとのこと。そこで色々研究した結果、整骨に運動力学をプラスし、ケアすることでその願いがかなうというのです。このサービスをはじめれば、自分だけじゃなく色んな人の身体をケアすることができて、みんなが生涯ゴルフを楽しめるのだ、と。

「誰を、どのように幸せにしたい?」が明確ですので、クリエイティブはそれをそのまま描いてあげればいいんです。

80歳。 
シングルプレーヤーですが、何か? 
生涯スポーツのための整骨があります。

これは、整骨院のおかげで80歳を過ぎてもゴルフができる喜びを言葉にしています。「サービスと、それによるターゲットの喜び」をコピーにしてあげれば広告は一丁上がりですね。

プロのコピーライターはテクニックを持っています。ただし、発注者の心がわからないのではプロとして失格です。自分が書きたいことを書くのではなく、発注者の心を読み解く「聞く力」が大切です。ですから、オリエンシートに書いてあることをただなぞるのではなく、その裏に潜む「本当は何を求めているのか」という“心を読む作業”がとても大事なのです。

今度はコピーに技(テクニック)を加えていきましょう。

「ナイスショット爺さん」
になりましょう。
生涯スポーツのための整骨があります。

あるいは……

わしがクラブを握ると
みんなが笑った。
しかしボールを打った途端……
生涯スポーツのための整骨があります。

2案目は、事象をネーミングする手法。3案目は、ターゲットが欲しいと思うストーリーを描いたもの。広告史に残るアメリカの音楽スクールのコピーがあるんですが、それをゴルフに言い換えただけです。過去の事例を知るのも技を磨く一つの手。コピーにバリエーションを出すことができます。

プロの仕事とは、「こうしたいんだ!」という発注者の「心」を、「技」で最大化すること。そのためには商品を俯瞰し、客観的な視点でディレクションしなくてはなりません。

さらには、整骨院というサービスでターゲットの“幸せMAX”を描くことで、整骨院とゴルフプレイヤーの間に新たな関係性が生まれました。つまり広告とは、「生活者と商品・サービスの新しい関係をクリエイトする」ことだということです。

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