経営者の「上から目線」をなくす非カリスマ意識 組織の上に行くほど「人」が見えなくなる
組織の上のほうに行くほど「人」が見えなくなる
職場の環境を改善するために絶対に欠かせないのは、人事責任者の力だ。私は、ソニー・ピクチャーズテレビジョン・ジャパンの中核となるメンバーを集めるにあたり、人事責任者に関してはソニー本社からの派遣を依頼した。
親会社の優秀な人事責任者に来てもらえば、メンバーたちをフラットな目で見て、偏りのない人事評価をしてくれると考えたからだ。また、私だけではわからない組織の健康状態をチェックして報告してもらいたいとも考えていた。
常に張り詰めていた職場の雰囲気を少しでも早く改善するために、私は人事責任者と二人三脚で問題解決に取り組むことを決意した。まず努めたのは、ほとんど毎日、会話を交わすことだ。
社員がどんな思いで働いているか、どんな問題が巣食っているのか。こうしたことは、組織の上のほうに行けば行くほど、見えなくなるものだ。現場に関わらなくなれば、現場が見えなくなるのは当然のことだろう。社長や会長に至っては、会社について理解できているのはほんのわずかだ。ところが、怖いことに、上のほうの役職にいる人ほど、自分は会社のことが隅々まで見えていると錯覚するのである。
しかし、勘違いしていると、どんどん見えなくなる。とくに見えなくなるのは、「人」だ。
会社にはさまざまな社員がいる。良い仕事をして目立っている人もいれば、目立っているけれども、単に自分をプロモーションするのがうまいだけの人もいるし、自己表現はうまくないけれども裏方でコツコツこなすタイプもいる。もしくは、性格にひとクセもふたクセもあって、周囲の人と合わせることができないけれども、能力的には優れたものを持っている人もいる。
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