大型トラックの場合、大きくステアリングを操舵した状態で発進すると、車体後部のオーバーハング(後第2軸中央から車体最後部)部分が外側へと張り出すが、FHのアウターミラーは鏡面が大きく確認がしやすかった。
ただし、アウターミラーの取り付け位置は乗用車と同じくサイドガラス越しになる。国産大型トラックのように前ガラス越しではないため、とくに左(助手席側)ミラーを使った安全確認時には、ドライバーは首を大きくひねり、頭を左に向ける必要があった。また、張り出し位置が違うのでミラーが描く旋回軌跡は国産大型トラックとは異なる。よって慣れるまでは狭い道への進入の際、電柱やカーブミラーとの接触に細心の注意を払う必要があった。
直径の大きなステアリングは握りも太く、欧州車テイスト満載だ。しかし、想像以上に操舵力は軽く、そして直径の大きなタイヤを動かしている抵抗(フリクション)が非常に少ない。でも、不思議と直進安定性はビシッと高い。
これはボルボFHに備わる「ボルボ・ダイナミック・ステアリング」の効果だ。ボルボ・ダイナミック・ステアリングとは、ステアリングギアボックス&油圧式パワーステアリング(いわゆるステアリング機構)に直結した電動モーターによって、ドライバーの意図しないステアリングの動きを、電動モーターの反力によって打ち消す技術である。
大型トラック特有の路面からの外乱に対応するには?
UDトラックスの大型トラック「クオン」には同様のメカニズムをもった機構が「UDアクティブステアリング」として搭載されているが、ボルボ・ダイナミック・ステアリングでは高速域でしっかりとした反力を生み出すFH専用の制御プログラムが与えられている。
大型トラックは路面からの外乱による影響を受けやすい。タイヤの直径が大きいことに加えて、車輪の数が多く、さらに荷物をフルに積載すれば25tにもなることから自重によっても姿勢が乱れやすく、荒れた路面では大きく進路が乱されてしまう。
この外乱への対応策は大きく2つ。①ドライバーの“当て舵”と、②車体フレームがもつ“しなり”による吸収だ。この①と②によって大型トラックはドライバーの意図したとおりに走るのだ。
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