「平和的に台湾を飲み込む」中国の戦略が怖い訳 嫌がらせを重ねた先の「戦意喪失」が真の狙いだ

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しかも、ロシアとウクライナは別々の国ですが、中国と台湾は「1つの中国」。中国はしきりに「台湾は国内問題だ。よその国が口を出すことではない」という言い方をしています。

習近平の戦略は「孫子の兵法」

ただ、個人的には中国は直接、台湾に攻め込むことは難しいと思っています。習近平国家主席の頭にあるのは、「孫子の兵法」ではないか。つまり、「戦わずして勝つ」です。

いまも中国軍の戦闘機や爆撃機が、毎日のように台湾の防空識別圏に侵入したり、領空侵犯を繰り返したりしています。台湾空軍はそのたびごとにスクランブル(緊急発進) をしていたのですが、あまりに多いのでいちいち対応できず、ついに空軍機の緊急発進を縮小する措置をとりました。

中国としては、アメリカとの全面戦争は避けたいのです。

アメリカは中国と正式に国交正常化した1979年、「台湾関係法」というものを成立させています。いわゆる台湾との軍事同盟です。アメリカは台湾を国家として承認しておらず、同盟関係にもありません。しかし、仮に台湾に軍事侵攻すれば、アメリカが出てくるかもしれないという危機感が中国にはあります。

習近平は今回、アメリカがロシアにどれだけ強硬な態度をとるか、アメリカの出方を注視し、台湾戦略の参考にしたいと考えています。

現段階では、アメリカ軍の空母を1発で沈められるような「空母キラー」などと呼ばれる弾道ミサイルを大量に配備しながら、台湾に対してさまざまな嫌がらせを続けています。台湾に対し「アメリカが助けてくれると思っているだろう。いやいや、中国はアメリカ軍が東シナ海、あるいは南シナ海に近付けないようにしたぞ。アメリカは自由に行動できない。だから独立なんて言うなよ」と、圧力をかけているのです。

台湾には、「中国本土と仲良くしよう」という国民党の勢力があります。いまは「中国と距離を置きたい」という民進党政権ですが、嫌がらせを続けながら、戦意を喪失させる。

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