ネットで炎上「Fラン大学」は名誉毀損にあたるか 名指しされた大学は訴えることが可能なのか

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就職活動に関しては、「Fラン大学に通っていても、諦めずに『学歴以上に自分は価値のある人間である』ということをアピールしましょう!」として、部活動やサークル活動、アルバイトに従事することを勧めている。

ネットでは、「名指しされた大学は訴えてもいいんじゃないか?」「こんな差別的な記事はありえない」などとサイトに対してさらなる批判が集まっている。

「Fラン大学」と称することに法的問題はないのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。

言われた側の社会的評価の低下が発生する余地がある

──弁護士ドットコムの法律相談には、「Fラン大学生だから頭悪いね」などと言われたという相談が寄せられています。個人に対して「Fラン大学」と言うと、どのような法的問題があるのでしょうか。

「Fラン大学」という言葉は、ネットスラング的に使われている言葉であり、一般的に言えば、明確な定義があるわけではありません。しかし、頭が悪い、知能が低いといったニュアンスを含めて使われています。

そのため、Fラン大学といった指摘を受ければ、頭が悪い、知能が低いといった指摘を受けているということができます。このような指摘を受ければ、たとえば仕事ができない人であるとか、手際が悪い人であるといった印象まで受けることになるため、言われた側の社会的評価の低下が発生する余地があります。

そのため、名誉毀損の問題が生じることになります。

──今回の記事では、大学(法人)も名指しされています。

「Fラン大学」という指摘は、大学を評価したもの、又は意見ないし論評として指摘されているものといえます。

意見・論評によっても民事上の名誉毀損は成立しえますが、公共性、公益目的、意見・論評の前提とする重要事実の真実性がある場合には、「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り」、違法性がないとされています。

記事では「Fラン大学」の定義を置いており、その定義に当てはまるかどうかという枠組みで名指しされている部分については、(偏差値の情報がおおむね正しい限り)前提の重要事実に真実性があるといえることになり、違法性がないとされる可能性が高いといえます。

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