ネットで炎上「Fラン大学」は名誉毀損にあたるか 名指しされた大学は訴えることが可能なのか

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他方で、世間一般的にみたものというリストも挙げられていますが、実際にはそのように見られていないという実態があるとすれば、前提の重要事実に真実性がないといえることになります。もっとも、「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したもの」といえるかという問題があり、違法とまでは評価されない可能性も高いように思います。

そのため、名誉毀損としていくことはできないことはないが、少々難しいケースも多いのではないかと想定されます。

名誉感情侵害が成立するか

──名誉毀損以外の法的問題はありますか?

また、「Fラン大学」という言葉は侮辱的ニュアンスを持っていることから、民事上、名誉感情侵害を主張する余地があります。もっとも、法人には感情がないので、名誉感情侵害を主張しうるのは、「Fラン大学」などと言われた個人に限られます。

名誉感情侵害が成立するかどうかは、社会通念上許される限度を超える侮辱行為であると認められるかどうかが問題とされます。言葉自体の侮辱性が強い場合には、社会通念上許される限度を超えた侮辱行為に当たると判断される傾向にあります。

また、根拠が示されず単なる意見・感想の範囲と言える場合は、言葉だけでは社会通念上許される限度を超えていないと判断される傾向がありますが、回数や指摘されている経緯などに照らして、社会通念上許される限度を超えていると判断される場合があります。

「Fラン大学」については、どちらかといえば根拠が示されず単なる意見・感想として言われているものという分類になるでしょうから、回数や経緯に照らして社会通念上許される限度を超えるかどうかを検討することになります。

以上のように、単に一言「Fラン大学」であるといった指摘をしたとしても、それだけで法的問題が生じる可能性は低いですが、繰り返していたり、言葉を発した経緯によっては法的問題が生じることになります。

そもそも、他人を下げるための言葉となっている以上、安易な使用は避けるべきと考えます。

プロフィール
清水 陽平(しみず ようへい)弁護士
法律事務所アルシエン
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省が主催する「発信者情報開示の在り方に関する研究会」の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第3版(弘文堂)」などがある。

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