松本明子さん「空き家の放置はこんなにもマズい」 雑草に動物…損害賠償請求されるケースも
上田:来ます、来ます。しかも寄って来るのは動物だけではありません。怪しい人間もやって来ます。空き家とわかれば、不審者が侵入して棲みついたり、子どもたちのたまり場になったり、犯罪者のアジトとして利用されたりする恐れもあります。
あとは放火。空き家は人の目が届きにくく、ポストにたまったチラシや不法投棄されたゴミなど火種になるものがあるので、放火のターゲットになりやすいのです。
松本:空き家というのは犯罪や放火の心配もしないといけないんですね。
ずさんな管理で、損害賠償請求されるケースも
上田:気をつけることはまだまだあります。たとえばシロアリ。柱や梁など建物を支える構造部分の木材を食べるので、シロアリ被害が進んだ住宅は柱や梁が弱くなり、大地震などの際に倒壊などの被害が出る可能性を上げてしまいます。シロアリ被害は気づきにくく、発見したときには手遅れというケースが少なくないのです。
松本:対策って何かあるんですか。
上田:シロアリは湿気を好むので、こまめに風を通して湿気を逃がすのがいいのですが、週1回程度ではあまり効果がありません。
空き家の場合、毎日換気というわけにはいきませんから、現実的には防蟻処理(薬剤などを撒く)をするのが一番の対策になります。
ほかには換気設備の設置(換気扇や住宅設備としての除湿器など)となります。あとはシロアリの被害がないか、床下などをよく見て確認することです。
松本:決め手は換気と薬剤ということですね。
上田:そうです。あと空き家は人や物が動かないので、軒下、戸袋、庭木などにハチが巣を作ることがあります。戸袋に巣を作るのは雨戸の開閉がないからです。
スズメバチが巣を作った場合は、危ないので駆除業者を頼んだほうがいいと思います。
松本:庭木は放っておくと枝が伸びるんですよね。
上田:庭木は放っておくと隣家に枝が伸びて枯葉や果実、種などを落としますし、強風で木が折れて隣家の屋根や外壁、車などを破損することもあります。樹高が3mを超えると実家や隣家の雨どいを落ち葉がふさぎ、雨漏りの原因になる恐れもあります。
また、戸建ての主要構造部は木材ですから、湿気に弱く、雨漏りが発生すると老朽化が一気に進みます。
台風、大雨、大雪などで建材が剥がれて飛散したり、最悪の場合は倒壊する恐れもある。近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。
実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。