10年で「女性管理職比率」が増加した会社TOP100 最新版「女性管理職比率」ランキングも掲載

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最後に、全体像を見ておこう、2021年の女性管理職比率の平均は8.7%だ。2016年は6.3%、2017年6.9%、2018年が7.5%、2019年が7.7%、2020年が8.1%と、この5年間だけ見ても着実に増加してはいるものの、まだ二桁には届いていない。

業種別(2021年)では、前年同様に保険業26.2%、サービス業18.4%、銀行業17.0%、その他金融業16.4%の順で比率が高かった。一方で、鉄鋼2.5%、非鉄金属2.6%、建設業、パルプ・紙、金属製品がそれぞれ2.7%と低かった。このように業種による差も依然として大きい。

仕組み整備と、女性社員が管理職を志向する仕掛けも

有価証券報告書で女性管理職比率開示が義務化となれば、各社の数値はこれまで以上に比較対象になるはずだ。そうなれば、企業も本腰を入れて、採用段階から女性管理職比率の改善に注力することが期待できる。ただ、単に採用時の女性比率を高めることや制度の整備だけでは実現は難しいように思う。

最近見たドラマで主人公が女性管職比率を5割にするプロジェクトを社内で推進する話があった。注目したのは女性の新入社員の中にはそんなプロジェクトが始まるのならこの会社に就職しなかったという者もあり、同プロジェクトに乗っかって管理職になりたいという者は1人もいないと女性人事部長がプロジェクトリーダーに伝えるシーンだ。

これまで女性管理職比率ランキングや政府の目標に関する記事を公表すると、出世したいと思っていない女性がいるのだから比率は低くて当然、それを筆者は理解していないといったご意見をいただくことがあった。上記のドラマのシーンにもつながる話だ。採用時の女性比率を上げることや制度整備だけでは解決できない課題がありそうだ。

そうはいえども労働人口が減る中、人口の半分を占める女性の活躍はますます欠かせなくなっていくだろう。ドラマでは目指すべき女性管理職のロールモデルに対する女性社員の持つ印象を変えたことなどで、「出世も楽しいかも」と言う女性の新入社員も出てきた。でも、それはドラマの中でのお話。このお話をヒントにするならば、女性社員の管理職志向を高める仕掛けが必要だろう。

すでにランキング上位企業の事例をいくつも挙げてきたが、仕事と家庭の両立を支援する仕組みは先進企業を参照にすればよい。しかしながら、制度が整備されたからといって志向は簡単に変わらないだろう。先に挙げたように10%程度の女性管理職比率を目標とし、そのための制度整備に並行して、女性社員が管理職を目指す仕掛けづくりを検討することが大事なのではないだろうか。

次ページ【表】業種別女性管理職比率の平均・合計人数
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