【産業天気図・繊維製品】合繊・紡績は業績改善加速。ただ原燃料高の懸念も続く「晴れ時々曇り」

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合繊大手の05年3月期中間決算は、デジタル家電市場の好調を背景にした情報通信関連の樹脂・化成品材料、自動車関連の繊維・樹脂材料、また航空機や産業用途での需要が広がりつつある炭素繊維・樹脂材料などが、各社の業績好調を牽引した。
 原燃料高騰の影響を積極的な価格転嫁で最小限にとどめるとともに、生産合理化・経費削減などを徹底し、利益拡大につなげている。ただ、下期については、なお原燃料高騰の影響が不透明だ。NY原油価格は一時の50ドルを超す急騰から落ち着いてきているものの、先行きは見えない。
 東レは情報通信関連や先端材料、繊維、プラスチック・ケミカル、住宅などで好調を持続。顧客企業との協働で新商材開発や用途開発に取り組むニューバリュークリエータが成果を挙げつつある。帝人も防護衣料や自動車用途で需要急増の産業繊維、IT関連向けの化成品、医薬医療が牽引。一方、三菱レイヨンは炭素繊維の値戻し効果と液晶用プリズムシート等が好調だが、為替と価格転嫁の遅れ等で繊維事業と化成品・樹脂事業が減益見通しとなっており、最高益更新見通しながら力強さに欠ける。
 紡績大手も、業績改善が進んでいる。日清紡はブレーキ事業が自動車需要を背景に好調で、国内繊維事業の不振を補った。日東紡はIT関連向けガラス繊維が需要拡大のうえ、値上げ浸透で業績急回復。クラボウは得意のジーンズが好調だった。
 下期から来期にかけての注目点は2つ。1つはデジタル家電需要。繊維業界では、デジタル家電向けの樹脂・フィルム、材料が大きな柱となりつつあるだけに、その動向は重要だ。もう1つは原燃料価格。景気の減速感が広がりつつあり、最終製品への価格転嫁は容易ではない。今後もさらなる価格転嫁は可能なのかが焦点となる。こうした事情を勘案すると、繊維業界は『晴れ時々曇り』といえそうだ。
【本多正典記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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