愛の不時着みある韓国版「ペーパーハウス」の凄さ 「イカゲーム」俳優も出演、コリア風リメイク

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間違っても変更されるべきではない強盗団8人のコードネームはオリジナルのままです。チョン・ジョンソ演じるヒロインは「トーキョー」、パク・ヘス演じる現場リーダーは「ベルリン」、ほかにも「リオ」や「デンバー」と都市名から名付けられています。このシンプルでどの国の視聴者も覚えやすいキャラクター名こそオリジナルが世界的にヒットした理由の1つにあります。韓国版も全世界の視聴者を想定していますから、ここは外せません。

「イカゲーム」でサンウ役を好演した俳優パク・ヘスの「ベルリン」役はオリジナルに最も寄せた演技だ(写真:Netflix)

日本の視聴者にとって「トーキョー」という名前は当然ながら気になるはずです。劇中で「トーキョー」をコードネームに選んだ理由を述べるシーンがあるのですが、韓国版はオリジナルとは異なり、「悪いことをするから」というセリフに変わっています。日本が朝鮮半島を植民地支配した歴史を意味することは明らかです。日本人は敏感に反応してしまう一方で、海外の視聴者はブラックユーモアとして受け止めるセリフなのかもしれません。

一方、アレンジが予想できたのは、「ペーパー・ハウス」を象徴するキャッチーなビジュアルです。オリジナルは赤のジャンプスーツに、画家サルバドール・ダリの仮面を被る姿が定番ですが、韓国版では赤のジャンプスーツに合わせたのは不敵な笑みを浮かべる韓国伝統のお面「河回仮面(ハフェタル)」です。細かな要素で現地制作する国の文化に合わせるのもリメイクの醍醐味なのです。

北朝鮮と韓国の緊張が新たな要素

基本的な筋立てはオリジナルに忠実ですが、ある意味、別の作品のようにも思えます。舞台がそもそも朝鮮半島の再統一に直面する共同経済区域という架空の設定を押し出した話が多いからです。

舞台は朝鮮半島の北と南を分ける現在の軍事境界線上。架空の造幣局を設けて強盗事件を描く(写真:Netflix)

公式リリースの脚本担当のリュ・ヨンジェのコメントによると、韓国版の設定に魅力を感じたのは「強盗団と警察の対立を描いているだけでなく、北朝鮮と韓国の緊張、不信、調和といった新たな要素」と明かし、「北朝鮮と韓国の強盗たちが力を合わせたり、彼らを阻止しようと警察が手を組んだりする状況によって、オリジナル作品に韓国独自の視点がもたらされています」と説明しています。

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