またその対立構造をもとに、「イカゲーム」の流れをくんで資本主義によって生み出される格差社会の問題も扱っています。意図的により韓国ドラマらしくしたようにも思えます。
というのも、従来の韓国ドラマファンに向けてはラテンノリより韓国風味に仕上げたほうがより見やすくなるからです。そもそもNetflixがヨーロッパの中で比較的早くから作品数をそろえていたスペインドラマと、アジアの中で最も成功している韓国ドラマは、それぞれ一定数のファンをすでに抱えていますが、視聴層は必ずしも重なっていないはずです。
コンテンツを視聴者に見つけてもらう
2021年に行われたオンライン取材会で説明したNetflixコンテンツ部門バイス・プレジデント(韓国、東南アジア、オセアニア圏)のキム・ミニョンの言葉から裏付けることもできます。
「Netflix実装のオススメ機能だけでなく、コンテンツを視聴者に見つけてもらうやり方を模索していくことも大事だと思っています。『ペーパー・ハウス』のリメイクはそのトライアルの1つです」と、キム・ミニョンは話していました。
つまり、本来韓国ドラマに興味のなかった欧米ドラマファンを取り込むことができる可能性があるということです。その逆もしかりです。実際にNetflixの発表によると、「ペーパー・ハウス・コリア」が配信開始した6月24日を含む1週間(6月20日~26日)の視聴集計で同作は視聴3374万時間を記録し、51カ国でTOP10入り、外国語TVシリーズのトップに立ちました。Netflix内でドラマをリメイクする価値は視聴者開拓としての効果があることを証明したようなものです。
狙いたっぷりの韓国版なわけですが、人間味あふれたキャラクター1人ひとりに感情移入しやすいオリジナルと比べて、描き方が弱まっているのは残念な点です。現在配信されているのはシーズン1の前半パートのみのため、その辺りの深みが出るのかどうかは、今後配信予定の後半パートで期待したいところです。
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